発展途上の技術、2030年が照準か?
「2030年までに、大部分の人が何らかの手段でメタバースにいることになるだろう」。こう予測するのは、ニューヨークにあるフューチャー・トゥデイ・インスティチュートの役員、メラニー・スビン氏だ。
彼女によれば、「仕事や教育上やむをえず」メタバースを使う人もいれば、「就業時間のほとんどを"つないで過ごす”」人も出てくるらしい。
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メタバースでは、一人ひとりに拡張現実(AR)を構築することができる。それには「身体的、行動的特性によるバイオメトリックス、感情検知、感情分析、そしてパーソナルデータを織り交ぜる」ことが必要だとスビン氏は語る。
「ARのウェアラブル装置は、今日のスマートフォンと同じぐらい浸透するかもしれない」と、3Dテクノロジー企業セシウムのCEO、パトリック・コッツィ氏は述べる。彼以外の人々も、オキュラスのようなVRヘッドセットが携帯電話に完全に取って代わり、24時間常に装着し、友達とチャットしたり、買い物をしたり、バーチャルの成層圏を旅するような未来を見ている。
しかし、現行バージョンのメタバースでは、当面はそこまでのスペクタクルは期待できず、まだまだ道のりは長い。2030年という予測も、とてつもなく楽観的なものだろう。さらに、オキュラスのVRヘッドセットを30分以上身に着けたことがある人ならわかってもらえると思うが、メタバースのテクノロジーはまだまだ発展途上だ。
したがって、企業がメタバースに参入しているといっても、そのテクノロジーは未熟で、ビデオゲームや人気のないコンサートなど、ほんのわずかしか使用例がない。
スビン氏も『ニューロマンサー』や『レディ・プレイヤー1』のようにメタバースを完全に実現することは、夢のまた夢だということはわかっている。しかし、彼女は「いつになったら我々が映画『マトリックス』のネオのように行き来できるようになるのか?と問われれば、2030年のちょっと先ぐらいではないかと考えています」と付け加えた。
(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載したものである。)