経済・社会

2022.07.12 08:30

リヴィアンへの投資でも成功。新時代を切り開く投資の第一人者が大切にしていること

Postmodern Studio / Shutterstock.com


変化を経てより大きなリターンを上げる会社を探す際、注目すべきポイントは、利益とキャッシュフローの増加ペース、それにその成長が続くか否かの2つだ。グロース・ストック・ファンドの構成銘柄のほぼ半数は長期的な成長企業か創造的破壊者だ。15〜25%は金融や工業などの循環的成長銘柄で、2桁台の成長を示すこともあるが、長続きはしないとファスは言う。残りの15〜25%は、ファスが言うところの「特殊な状況」にある企業。バリュー株からグロース株に移行中で、産業界の長期的変化から恩恵を受ける企業、または統合を経てより強力になる企業だ。
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マイクロソフトがこれに該当する。2000年代の初め、パソコンメーカーだった同社は「変化を経て成長する企業の対極」にあったが、14年にサトヤ・ナデラがCEOになると、モバイルとクラウド・コンピューティングに軸足を移し、再び2桁増益を達成した。ファスは15年にマイクロソフトを買い始め、いまではファンド配分で最大の10%を占める。マイクロソフト、アップル、メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)、アマゾンは、既存事業を強化しつつ新市場の開拓・参入を繰り返すことで「勝つための新しい方法」を模索し続けており、さらなる成功が見込まれるという。

高騰中の成長株やハイテク株はこの2カ月ほど、売り圧力にさらされている。リヴィアンの株価も最高値の半分以下で推移。長期的な株価上昇までにはこうした価格変動に耐える必要があるとファスは言う。彼は長期投資を是とし、回転率はアクティブ運用の成長株ポートフォリオとしては低めの33%だ。

踏みとどまってほしい、とファスは株主に訴える。
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「これからも、世界を変えるような企業、業界のもつ機会を生かす企業への投資は続けていきます」

ファスは、その成長株の成長の持続性を信じていれば、いずれはその銘柄に救われる可能性があると話す。50〜60年代を米国製造業の「黄金時代」と呼ぶファスがいま、その時代から続くファンドを動かしているなんて、ロマンティックな話ではないか。

「古い車の部品を見つけるには何年もかかることがあります」

ファスは言う。それは、投資対象として高騰する成長株を見つけること同様なのだと。

「最高の宝探しなんです」


T.RowePrice◎1937年、米メリーランド州ボルティモアで設立。創業者のトーマス・ロウ・プライス・ジュニアは、「成長株に長期投資せよ」との投資哲学で知られる。同社のグロース・ストック・ファンドは、将来有望な銘柄を買うという創業者のビジョンを継承し、時代の変化を受け止めつつ成長株投資を続けている。

Joe Fath◎ティー・ロウ・プライス・グロース・ストック・ファンドの運用責任者兼ポートフォリオマネジャー。シカゴ出身。1993年イリノイ大学卒業。ペンシルベニア大学ウォートン経営大学院在学中に教育分野のテック企業の立ち上げに参加。ティー・ロウ・プライスではアソシエイト・ポートフォリオ・マネジャーを経て、現職。

文=セルゲイ・クレブニコフ 写真=ロバート・セブリ 編集=森裕子

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