2021年全世界の発電量で風力とソーラーが過去最高10%を供給

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先に2021年までのエネルギーデータを網羅した「BP Statistical Review of World Energy 2022(BP世界エネルギー統計レビュー 2022)」が発表された。このレビューは、国レベルでの主要なエネルギー源の需要と供給の包括的状況を提供しており、企業、政府機関、非政府組織の多くが一時データソースとしてこれを利用している。

発表されて以来、私はデータを分析しグラフを作っている。珠玉の情報を見つけ出し、独自の方法でデータを分析することが目標だ。今後の記事では、それぞれのエネルギー分野について深く掘り下げていく予定だが、本記事では今年のレビューの全体像を紹介したい。

エネルギーの利用と消費の統計値は、いまだに新型コロナパンデミックの影響下にある。エネルギーの消費と生産は2020年に劇的に減少したが、需要はその後復活した。しかし、サプライチェーンの制約は、エネルギー生産者の対応能力に打撃を与えた。その結果がエネルギー価格の上昇となって現れた。

エネルギー全体の概観


世界の一次エネルギー消費量は2021年から5.5%増加して史上最高だった。これは1970年代初期以来最速のエネルギー消費の成長であり、2020年の新型コロナによるエネルギー消費が落ち込んだ後、世界的に需要が回復したことを反映している。

化石燃料は2021年の一次エネルギー利用の82%を占め、事実上前年と変わらなかったが、2019年の83%、5年前の85%からは減少した。残りの一次エネルギー利用は、水力(6.8%)、再生可能(6.7%)、原子力(4.2%)だった。

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世界の二酸化炭素排出量は2020年レベルから増加したが、2019年よりはまだ約1%低い。

石油


石油は今も世界エネルギー消費の3分の1近くを占めている。2021年、全世界で1日当たり9410万バレル(BPD)の石油が消費された。これは2020年を6.0%上回っているが、2019年よりはまだ3.7%少ない。

世界石油生産量は2021年に1400万BPD増加したが、2019年水準よりまだ500万BPD少ない。米国の生産量は2019年よりも52万9000BPD少なかった。

石油精製能力は2021年に50万BPD近く落ち込み、30年ぶり以上の減少だった。これはガソリン、ディーゼル燃料などの最終製品価格に対する上昇圧力を悪化させる一要因だ。

天然ガス


天然ガスはここ数年で最速成長中の化石燃料であり、過去10年間に世界平均年率2.2%で増えている。

2020年に減少した後、世界の天然ガス消費量は史上最高の5.3%成長した。

2021年、米国は天然ガスの生産と消費両方で世界のリーダーを維持した。米国は2021年に世界の天然ガスの23%を生産した。2位はロシアで世界シェアの17%だった。
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翻訳=高橋信夫

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