米コロナ感染者、すでに「BA.5」が過半 短期間で優勢に

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感染力がさらに強まった新型コロナウイルスの変異株オミクロン株の派生型「BA.5」が、すでに米国の感染の主流となっていることが確認された。米疾病対策センター(CDC)によると、7月2日までの1週間に報告された感染者の約54%から、BA.5が検出されている。

BA.5とそれに加えて感染が拡大している「BA.4」は、互いに非常に近い系統のオミクロン株の派生型。これらを合わせると、同日までの1週間の感染者に占める割合は、およそ70%となっている。また、CDCによると米国では検査陽性率も上昇しており、2月上旬以来の高水準となっている。

食品医薬品局(FDA)は6月末、冬の感染者の急増に備え、秋までにBA.4とBA.5をターゲットとした追加接種用ワクチンを準備するようメーカー各社に勧告したばかり。感染者が再び増加するなか、免疫から逃避する能力を高めた新たな株をターゲットとしたワクチンへの改良が進められている。

米国の感染者数は4月中旬以降、再び増加傾向に転じた。7月4日までの1週間の1日あたりの感染者数は、平均9万4345人で、4月10日に報告された感染者数(同3万558人)の3倍以上となっている。また、入院患者数も増加しており、7月3日までの1週間の入院者数は、4月上旬の3倍に近くなっている。

世界的に流行の主流に


BA.4とBA.5は今年初め、南アフリカで最初に検出され、同国内で優勢な株(派生型)となった。英国をはじめその他各国でも、すでにこれらの派生型が最も優勢となっている。

BA.4とBA.5は、米国では3月下旬に初めて感染者が確認された。その後数週間は、依然としてBA.2が主流だったものの、6月中旬にはBA.4とBA.5の感染者が全体の55%を占めるまでに増加した。一方、今年初めに優勢となり、感染者を急増させた「BA.2.12.1」への感染は現在、すでに全体の27%を占める程度に減少している。

これら3つの派生型はすべて、スパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞に侵入するために結合する部分)に変異があり、免疫から逃避しやすくなっている。これまでに収集されたデータは、BA.5は過去の感染やワクチン接種によって得られた抗体から逃れる力が強まっていることを示唆している。

感染力がより強く、免疫逃避能力がさらに高まった新たな派生型が主流となったことは、感染者の増加傾向が再び続くとみられることを意味する。マサチューセッツ州ボストンにあるベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの関連機関、ウイルス学・ワクチン研究センターの所長は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに対し、「感染者はこの夏、急増する可能性がある」と語っている。

編集=木内涼子

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