仕組みはこうだ。まずユーザーは、犬をアバター化したNFTを購入する。その購入資金により、実際の犬は保護され、殺処分を免れる。
ユーザーはそのNFTを所有するだけでなく、「Metabows VILLAGE」というメタバース空間で、アバターの犬に餌をやったり、散歩に連れていくなどの育成ゲームを楽しむ。友人やコミュニティの人たちと交流して楽しむこともできる。たまごっちをイメージするとわかりやすいであろう。
そして、散歩や餌やりなどのアクションを起こすと、見返りとしてトークン(デジタル通貨)が発行され、それが自分の資産として貯まっていく。そのトークンは、XCRというトークンと互換性を持たせ、将来的には他の仮想通貨と交換したり、現金として引き出すことも可能となる。つまりは稼げるというわけだ。
OpenSkyBlueでは、アライアンス先であるCROSSTECHが独自に開発しているCROSS Value Chain(CVC)というチェーン上のトークンXCRを使っている
またゲーム内では、おしゃれな首輪などのグッズが販売されており、その販売利益の一部は殺処分を免れた犬の飼育に使われるため、継続的に支援していくことができる。
「僕自身が無類の愛犬家で、月に1万円を犬の保護施設に寄付しています。ただ、自動的にお金が引き落とされているだけなので、実感がまったくない。年に一度、寄付先から活動内容や収支報告が届くのですが、圧倒的に資金が足りていません。もし僕が本気で取り組むなら、寄付を可視化し、確固たる収益性を確保する必要があると思ったんです」と、谷本氏。
そこで考案されたのが、Web3時代ならではの新しい仕組みだった。犬の殺処分問題に興味を持つ人は限られるが、NFTの所有体験や値上がり益への期待、楽しみながら稼ぐGemeFi(Play to Earn)、メタバースと、さまざまなユーザー体験を提供することで、より多くのユーザーを獲得することができ、収益性を高めることができる。
NFTとメタバース、GamiFiで構成されるMetabows。GameFi(Play to Earn)とは、GameとFinance(金融)を合わせた造語で、ゲームでお金を稼ぐ仕組み
OpenSkyBlueは、『社会貢献活動が“あたりまえ”になるソーシャルムーブメントを作る』という理念を掲げている。
「この“あたりまえ”になる、というのが重要だと思っていて。特に社会貢献を強く意識していなくても、何かに使っているエネルギーが気づいたら社会貢献に使われていた、という状態を生み出せれば、社会貢献の間口がグッと広がるのではないか」と木川氏は考えている。