個の時代は、一人一人が自分らしくキャリアを築いていく時代だ。会社に敷かれたレールにのっていくのではなく、それぞれがどんな人間で、どこへ行きたいのかを周りと対話しながら模索し、表明し、行動していく時代である。
そのなかで組織やリーダーが意識的に作るとよいのが、「自己紹介」の時間だ。自己紹介と言うと、チームに新しいメンバーが加わる際に行うイメージがあるかもしれないが、もっと幅広い場で活用することができる。
例えば、新プロジェクトのミーティングを行うとき。最初に2分で新しい参加者に自己紹介をしてもらうと、その人の心理的安全性も高まり、ミーティングへの貢献度も変わるだろう。大人数が参加するミーティングでも、すぐに数字や実務の話をせずに、まずは自己紹介で個人的な側面を出すと、それはよいアイスブレークにもなるし、プレゼンの内容理解に役立つこともある。
私のチームでは、月に1回、30分の自己紹介時間を設定していて、毎回2人のチームメンバーに15分ずつの自己紹介をしてもらっている。普段から共に働いているメンバーではあるが、お互いのことを深く知り合っているわけではないので、私にとってもメンバーのことがよく知れるよい機会になる。
15分というのはそれなりに長く、自分のことを深く話す余裕がある。この時間に、自分の過去、現在、未来について話してもらうのだが、面接と同じように過去を深く理解することで、その人の発言の背景やリアクションの意図がわかるものだ。また、現在を知ることで、その人がどんなサポートが必要なのかをみんなが知ることができるし、未来を知ることでその人のキャリアをどう支援していこうか考えることができる。
上司との1on1では話しているかもしれないが、それをチーム全員で共有できれば、お互いに助けになることが増え、チームワークも高まっていく。