7月21日にニューヨークでこのフォリオのオークションを開催するサザビーズの希少本部門によれば、今回出品されるのは399年前の印刷後、かなり早い時期に購入され、スコットランドに渡り、ゴードン家がその名を書き込んで代々所有してきたという。サザビーズは150万ドル(約2億400万円)から250万ドル(約3億4000万円)との見積もり結果を出しているが、多くの人の目に触れることで、もっと高い値段で落札されるだろうと予想している。
実際には競売人(オークショニア)が演台に立ち、番号札(パドル)が挙げられるまでは何が起こるかわからないが、個人所有のファースト・フォリオが20冊もないことは重要な点だ。今回その1冊がオークションにかけられることで、その個人所有の数が1冊減る可能性は十分すぎるほどある。別の表現をすれば、他のファースト・フォリオはすでに大英図書館、ニューヨーク公共図書館、フォルジャーなどの世界のすばらしい機関の手に渡っており、7月21日にも各機関の積極的な参加が期待されるのだ。
今回出品されるファースト・フォリオの非常にすばらしい点は、最初の所有者であるゴードン家とその相続人、譲受人が愛し、繰り返し読まれた生活感のある品であるというところだ。何人かがその上にサインを残している。とにかく最初の数百年は、誰もそれを売ることを考えていなかったようだ。それは権威であり、頼りになる精霊であり、祭壇であり、日記であり、告解者であり、生きものだった。サザビーズの希少本部門の専門家は、少なくとも5人の手による落書きやメモを特定している。著名なスコットランド人であったオーナーのウィリアム・スチュアート・スターリング・クロフォードは、自分の蔵書票をそこに貼り付けていた。