ノーベル賞と比較されることも多いフィールズ賞は、国際数学連合(IMU)が4年ごとに40歳以下の研究者4名に授与するもので、数学に関する最も権威のある賞の1つとされている。
スイス連邦工科大学ローザンヌ校の教授で、キーウ出身のヴィヤゾフスカ氏は、8次元で球を密に詰め込む方法に関する研究でよく知られている。
プリンストン大学のホ・ジュニ(許埈珥)は、詩を書くために高校を中退し、大学最後の年まで数学に目を向けていなかったが、幾何学と組合せ論(物の並べ方関する数学の分野)への貢献で表彰された。
また、オックスフォード大学のジェームズ・メイナードは素数の間隔を明らかにしたこと、ジュネーブ大学とフランス高等科学研究所の両方に属するユーゴー・ドゥミニユ=コパンは相転移を解明したことがそれぞれ評価された。
IMUは、同じくプリンストン大学のマーク・ブレイバーマンにアバカス・メダルを授与した。これは、フィールズ賞にならったコンピューターサイエンス部門の賞だ。ブレーバーマンは計算タスクの実行にかかるコストに関する研究で最もよく知られている。
フィールズ賞は、カナダの数学者ジョン・チャールズ・フィールズが提唱した賞で、学術賞の中では珍しくキャリアが浅い人の功績を称えるためのものだ。アーベル賞と並んで、数学者が獲得できる最高の栄誉の1つである。他のトップレベルの学術賞と同様に、受賞することで研究者のキャリアが加速され、新しい扉が開かれ、将来の資金や共同研究者の確保につながる可能性がある。しかし、こうした恩恵は均等に分配されているわけではなく、白人男性へ偏っており、女性や主流から外れたグループの受賞は少ない。
「2」。これは1936年以来、フィールズ賞を受賞した女性の数だ。スタンフォード大学のイラン人教授だったマリアム・ミルザハニは、複雑な幾何学と動的システムの研究で2014年に女性初の受賞者となった。イラン人初の受賞者でもあったミルザハニ氏は、受賞のわずか3年後、乳がんのため40歳の若さでこの世を去っている。
IMUのコンピュータ科学賞は1981年から授与されているが、アバカス・メダルの受賞者はブレイバーマンが初めてだ。これまではフィンランドの数学者ロルフ・ネヴァンリンナの功績を称え、「ロルフ・ネヴァンリンナ賞」という名で授与されていた。IMUは、ネヴァンリンナが第2次世界大戦中にナチスのシンパであり協力者であったことを歴史家が指摘したことを受けて、賞の名前を変更している。