ビットコインをはじめとするデジタル資産の価値は18カ月ぶりの水準に急落しているが、Prime TrustのCEO、Tom Pagelerによると、募集額以上の申し込みがあったという。
「今回の戦略的投資により、富裕層向け商品やWeb3、DeFiなどの新サービスを提供する上で必要となる運営上の専門技術を得ることが可能になる」とPagelerは話す。
Prime Trustは、具体的には「Prime Trust Crypto IRA」の拡大に注力する予定だ。ユーザーは、IRA(個人退職口座)を通して、ビットコインやイーサ、USDC、USDT、ライトコイン、カルダノなどの暗号通貨に投資することができる。同社は、3月下旬にこのプロダクトのベータ版をローンチ済みで、秋にフルローンチを予定している。
今回の資金調達は、Prime Trustにとって証券のトークン化に関する専門技術の習得に役立つだろう。「我々は、多くの消費者に提供を開始する前に、クラウドファンディングの分野でのパートナーと積極的に協業している」とPagelerは話す。Prime Trustの広報担当者によると、初期パートナーには、ジョージア州アトランタ本拠の資産管理会社「1776 Wealth」が含まれているという。
Prime Trustは、セキュリティとクラウドインフラの強化も図る予定だ。同社は、フィンテックやデジタル資産の顧客約700社に対して、数億件のAPIコールを処理しており、これらの取組みは必須だと言える。Prime Trustが提供する支払いや管理、流動性、決済などのAPIは、Dapper LabsやFTX、Binance USなど、暗号資産分野のスタートアップでは最大規模の企業に利用されている。
Prime Trustは、2021年にユーザー口座数が2000%増加したほか、3億件のAPIコールを処理し、月間最大35億円の決済を処理した。また、Pagelerによると、売上高は4年連続で倍増しているという。
「暗号資産の冬」は当面続くかもしれないが、Pagelerは、現時点で事業縮小を考えていないという。Prime Trustの資金調達は、ビットコインが今月30%急落した後に実施された最初の大型ディールだ。
6月21日に、SolanaベースのNFTマーケットプレイス「Magic Eden」がシリーズBラウンドで1億3000万ドルを調達し、評価額は16億ドルに達した。また、6月22日には、デジタル資産のプライムブローカー「FalconX」が、シリーズDラウンドで1億5000万ドルを調達し、評価額が80億ドルに達したことを明らかにしている。