筆者は、新著を執筆していたファテヒから初期段階の編集についてのアドバイスを求められたことで彼と知り合った。ファテヒは新著で、ソフトウエア会社の成長力を10倍に高めるコレント社開発のテクノロジーを紹介している。彼との対話は、示唆に富んだものだった。
ファテヒによると、セールスフォースはSaaSモデルがソフトウエアサービスの利用方法を変えられるかを見極める試金石として広く受け止められ、最終的に期待以上の成功を収めた。
「当時としては大きな賭けだったが、時間と大金を費やし、サービス型商品として市場へ投入した」とファテヒは言う。「この“サービス型”としての能力は、実際の顧客関係アプリケーション機能の上に追加されていたもので、これが業界の常識を覆す可能性のあるプラットフォームだった」
ファテヒによると、セールスフォースが成長するにつれて、「サービス型」の特性をうまく活用していった。自社のコアビジネスに付加価値を与えるサービスを提供する他社に対し、自社製SaaSプラットフォームへのアクセスを販売することで、SaaS事業のエコシステムを構築した。
「それ以降、数百のSaaS企業が立ち上がった。中には大手に成長したものもいる」とファテヒは言う。「全ての企業でこのSaaSモデルへの依存度が高まっていることや、ソフトウエアがそれをどれほどサポートしているかは、あまり認知されていない」