アフリカにEUのグリーン政策とエネルギー難は何をもたらすのか

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現在、適切な欧州インフラがないこととアフリカの地政学的不安定さが、EUの計画における課題となっている。アフリカのガス生産国のほとんどが液化天然ガスのみを輸出しているが、欧州は再ガス化輸入ターミナルの容量不足のために受け入れ準備が整っていない。欧州の主要天然ガス供給国の1つであるアルジェリアは、6月にスペインとの20年来の友好条約を中断し、ガス輸出を削減した。それ以前にも2021年のアルジェリアとの紛争、およびモロッコによるマグレブ・ヨーロッパ・パイプラインの切断が、サプライチェーンに大きな影響を与えている。アルジェリアは例外ではなくモザンビーク、ナイジェリア、およびコンゴ共和国の安全上の懸念も欧州のエネルギー構想に支障をきたしている。

こうした問題が解決しつつある兆候もある。トランスサハラ・ガスパイプライン・プロジェクトが2022年に承認されたことで、ナイジェリアのガスはニジェールとアルジェリア経由でEUに輸送されるだろう。英国の石油・ガス大手、BPは、米国の深海石油探査会社、コスモス・エナジーと提携して、48億ドル(約6507億円)の世界規模ガスプロジェクトを立ち上げ、モーリタニア・セネガル国境に大型液化天然ガスハブを開発する計画だ。アジアの経済成長にともない液化天然ガス需要が今後数十年間着実に増加することが見込まれることから、欧州企業はこの勢いに乗じてこうしたプロジェクトに投資できるだろう。

アフリカ自身もエネルギーの将来を見据えている。アフリカの国々、中でもナイジェリアとナミビアは、実用的なステップとしてグリーン水素生成に投資してきた。アフリカの風力やソーラーのプロジェクトは、英国企業のXLinksが英国、モロッコ間に建設した記録破りの海底ケーブルを通じてクリーンエネルギーを輸出することを目指している。南アフリカでは、世界最大のグリーンアンモニア工場が建設中だ。アフリカ諸国は欧州との協力によって、再生可能で経済的に利益を生むエネルギーの未来を開発できるだろう。

欧州のエネルギー戦略と、アフリカへの関心と投資の氾濫はパラドックスを生じさせている。一方で、直近の利益と開発のポテンシャルは膨大だ。その一方で、こうした棚ぼた的利益は、アフリカの天然資源破壊を悪化させ、依存性を高める危険をはらんでいる。アフリカにおける炭化水素とウランのプロジェクトは、検証可能な透明性を維持すべきだ。つまるところ、ノルウェーとカナダにとって「資源の呪い」による苦しみは最小限であり、アフリカもそうなれるはずだ。

EUとアフリカの当事者たちにとっての課題は、協調、経済的相補性および共生におけるWin-Win関係を見つけることだ。アフリカ諸国は欧州の緊急なエネルギー需要を認識する必要がある。一方、欧州は植民地支配と搾取の歴史を認識し、テクノロジーと資産を資源保有国と共有する必要がある。アフリカとEUは密に連携し、両者の経済開発目標、気候目標、およびエネルギー政策の一致に務め、エネルギー能力の構築と再生可能エネルギーへの転換という困難な現実と途方もない機会を受け入れ、操っていかなくてはならない。

(文章協力:Aiganym Nurakhanova)

翻訳=高橋信夫

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