最高裁の判断が示された前後(6月23~27日)にシカゴ大学の全国世論調査センター(NORC)と共同で世論調査を行ったAP通信は、「政府が中絶の問題に優先的に取り組むべき」だとする人は、中絶反対派と賛成派のどちらにおいても同様の割合を占めるようになったと指摘。
この問題が政府の「優先事項」であるとしてきたのは歴史的に、中絶に関して保守的な人が多くを占めてきたことをを考えると、注目すべき変化だとしている。
中絶について、あらゆる場合、または大半の場合において「合法とすべき」と答えた人は、全体の64%にのぼっている。支持政党別にみると、共和党支持者の43%、民主党支持者の86%がこのように回答した。
最高裁の判断が示された後のAP/NORC調査で、中絶の権利は「優先して取り組むべき問題」の上位5つに入ると答えた女性は、37%(6月の調査では21%)。男性は21%だった。こう答えた男性の割合は、判断が示される前の6%から急増している。
支持政党別では、優先的に取り組むべき問題として中絶を挙げたのは、民主党支持者の33%、共和党支持者の11%だった。共和党支持者は、今回の最高裁の判断に、ほとんど影響を受けていないとみられる。「優先すべき」と答えた人は、24日以前が9%、この日以降が14%だった(民主党支持者では、18%から42%に急増している)。
望まれる政府の対応は?
この問題を巡り、今後の焦点となるのは、政府がどのような対応を取るのかということだ。ジョー・バイデン大統領は、連邦議会は中絶の権利を連邦法として法制化すべきだと発言。上院が単純多数でそれを実現できるようにするため、フィリバスター(議事妨害)に関する規則の対象外としたい考えを明らかにしている。