参院選投票に行くと図書カードがもらえる? 出版社が考えた「#選挙くじ」

サンクチュアリ出版、ライツ社の2社協賛で企画された「#選挙くじ」とは──

7月10日は参院選投票日。先んじて、飲食店などが「選挙割」なる取り組みを始めたことがニュースになっている。投票所の看板や張り紙を背に「自撮り」した写真を店で提示すれば、割引きが受けられるのだ。

ところが、この「選挙割」ならぬ「選挙くじ」を考えついた出版社がある。

「自分がおもしろいと思える本を」を掲げる兵庫県明石市のライツ社と、「本を読まない人のための出版社」をうたい、図解やビジュアル素材を多用した個性的な本作りで知られる東京都のサンクチュアリ出版の2社だ。

「選挙くじ」とは一体?


では、この「選挙くじ」とは何か。「投票済証明書」の写真にハッシュタグ「#選挙くじ」をつけてツイートをすると、抽選で100名に1000円分の図書カードが当たる、という企画だ。投票所に行って、書店にも行こう、というキャンペーンでもある。期日前投票も対象で、応募期間は2022年7月10日24時まで。

参加方法は、ライツ社公式ツイッター(@writes_P)あるいはサンクチュアリ出版公式ツイッター(@sanctuarybook)をフォローし、投票後、「投票済証明書」の写真をハッシュタグ「#選挙くじ」をつけてツイッターに投稿。当選者には、Twitterアカウント宛てに、7月11日以降にDMで通知があるという仕組みだ。

近年、投票率を上げるための“草の根”活動が増えてきているが、両社はどうしてこの取り組みを実施するのか。ライツ社代表取締役社長・編集長 大塚啓志郎氏は次のように話す。

「このようなインセンティブ的な施策には、賛否両論あるかと思います。実際に『このような手練手管で投票率を上げるのではなく、出版社なら投票や参政権の大切さを本で訴えるべきではありませんか?』という声もいただきました。

ですが、わたしたちは兵庫県明石市にある出版社なのですが、まさに11月に、泉房穂明石市長の『社会の変え方(仮題)』という本を出す予定で、その取材中に『ポスターの中から候補者を選ぶことだけが政治参加ではない』という強いメッセージをいただいたのです。そこで、なにかできることはないかと、わたしたちなりに今回の施策に踏み切りました。少しでも、出版業界内に社会を変えようとする動きが生まれるきっかけとなればと願っています」

「賞金」の10万円は──


サンクチュアリ出版代表 鶴巻謙介氏は、次のようにコメントする。

「『投票に行く』という行為自体、なかなか億劫に感じる人が多いかと思います。ただ、それで『何かがもらえる』『何かが安くなる』というメリットがあるのなら、ひょっとしたら投票に行くモチベーションが上がるかもしれません。

少しでも投票率が上がるお手伝いをしつつ、本屋さんに行く人を増やせれば、出版業界にとってもメリットがあるのではないかと思い、このキャンペーンに協力をさせていただくことにしました」

ちなみに、「賞金」の10万円は両社折半で負担するとのことだ。100人の当選者は賞品の図書券で一体どんな本を買うのか。興味深いところでもある。

文=石井節子

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