ドライバーが座るポジションのことを、普通ならば「運転席」や「ドライバーズシート」と呼ぶが、レヴェントンには「コクピット」という単語がふさわしいだろう。シートやドアパネルは、ミリタリー色の強いオリーブグリーンとサンドイエローのアルカンターラで覆われており、バケットシートの座面には、三角形のテーマと先のとがった形状が採用され、外側のデザインを反映したレーシーなデザインになっている。
しかし最も戦闘機らしさを感じるのは、無垢のアルミブロックとカーボンファイバーでできたエレメントの中に、3つの液晶ディスプレイを備えたディスプレイデザインだろう。軍用航空技術から着想を得ているレヴェントンのディスプレイは、縦方向と横方向のGを、3Dグリッド上のドット状のインジケーターの動きで表示するGフォースメーターが搭載されている。また、ジェット機のようなデジタルディスプレイは、回転数と速度をリニアに表示し、さも自分が空軍パイロットになったかのような錯覚を覚える。スピードメーターは弾丸のようなマーカーを文字盤に配したユニークなデザインながらも、見やすく実用的である。
リアに搭載されている6.5リッターV12エンジンは基本的にはムルシエラゴと構造は変わらないものの、馬力は10PSのパワーアップによって最高出力650ps/8000rpm、最大トルク486lb-ftを誇る。しかしこのスペックは、エンジン内部とその周辺のほぼすべてのコンポーネントを徹底的に見直すことで達成された。また、オイルラジエーターは、より強力なエンジンから発生する熱に対応するために、大幅に拡大された。レヴェントンの開発にあたって、冷却処理はかなり苦労したポイントだそうだ。
このパワフルなエンジンによってレヴェントンは、0-100km/hは3.4秒、最高時速は330km/hというパフォーマンスを達成している。空母から飛び立つのには十分だろう。
発表された時にはすべて完売していたレヴェントンを手に入れるためには、中古市場に出てくるのを待つしかないだろう。しかし20台しか存在しない車など、滅多に市場には姿を現さない。したがって、11月25日と26日、久々にドイツでの開催となるRMサザビーズ主催のオークション「MUNICH」に出品されるレヴェントンが、超目玉商品となることは間違いない。今回出品されるレヴェントンは13番目に製造された個体で、走行距離はわずか102kmだ。
地上を走る戦闘機、レヴェントン。次のオーナーのもとではどのようなドッグファイトを魅せてくれるのだろうか。
(本記事はoctaneからの転載である。)