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2022.09.10 10:30

26兆円規模のレッドオーシャンに? デジタルアパレル市場の「熱狂」

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世界初の「デジタルドレス」、バーチャル上でしか着れないドレスがニューヨークで9500ドル(約133万円)で落札されたのは2019年のことだ。

その後も有名ブランドが続々参入、デジタルファッション業界は急成長しているという。

デジタルアパレル市場をとりまく環境と未来について、ロシアが生んだニットウェアデザイナーであり、「ファッション・ファクトリー・スクール」共同創立者でもあるLyudmila Norsoyan (彼女の作品はNORSOYANで見ることができる)による記事を以下、Forbes Russiaより翻訳転載で紹介する。


ピクセルドレスは「高級資産」?


2018年の時点では、デジタルドレスを作って販売していたのはほんのひと握りの人たちだった。しかし現在は、ゲームやメタワールドの開発者たち、そして少なくない数のデザイナー、小売業者たちがデジタルドレスで利益を手にしている。仮想現実プラットフォーム「Decentraland」における、デジタルドレスの2021年上半期の取引高は75万ドル(約1億430万円)だった。

モスクワにあるファッション・ファクトリー・スクールの創立者、リュドミーラ・ノルソヤン氏は「パンデミックがデジタルドレス市場の発展を加速した」と話す。本人もピクセルで作られた洋服に関心があり、ひと儲けしている人物でもある。

デジタルドレス市場に成長の兆しが表れたのは、2018年。デザイナーのカット・テイラー氏が、グッチ、バレンシアガ、アレキサンダーワンといった有名ブランドの洋服の3Dイメージを店頭のウインドウや広告キャンペーンに投影するなど、ファッションのデジタル化をマーケティングに利用したときだ。

3Dモデリングのパイオニアをもうひとつ挙げるなら、デジタルファッション集団「The Fabricant」だろう。彼らは2019年、web3セキュリティ関連企業「Quantstamp」CEOのリチャード・マー氏に、世界初となるデジタルによるクチュールドレスを9500ドル(約132万円)で販売した(マー氏はこのドレスを妻へのギフトにした)。さらに、ノルウェーのカジュアル服ブランド、カーリングスが20ユーロ(約2800円)の固定価格でバーチャル服コレクションを発表した。

リアル市場縮小がデジタル活況を作った


ロシアで、パンデミックによってデジタルファッション市場が広がったことはたしかにある。

私たちはみな家から出られなくなり、今まで以上にセルフィーを撮ってはソーシャルメディアに投稿するようになった。しかし、変化の乏しい背景では飽きがくるし、給料は減り贅沢はできない。金融データを扱う「Platform-OFD」は、2020年4月のロシアにおける衣料品の売上げが2月から90%の下落を記録したと報告した。また、Yes Groupの調査によると、2020年5月、ロシア人の約23%が洋服や靴の購入をあきらめたという。

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2020年のファッション業界は明らかにギリギリの状態にあった。注文の延期やキャンセルによって生産が打撃を受け、大規模な解雇や工場閉鎖へとつながった。ロックダウンによってファッション市場はコスト削減、そしてオンラインへと向かった。パンデミック前はオフライン販売に限定していたブランドでさえ、2020年はオンラインに移行した。

そして、ソーシャルネットワーキングが広がり、オンラインブランディングの重要性が高まるにつれて、デジタルクローゼットの流行は加速した。
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翻訳=上林香織 編集=石井節子

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