NFT.NYC レポート「コミュニティの声から拾うNFTの価値」

NFT.NYC 2022レポート


彼は他にも「NFTを購入したこともない人が専門家として登壇し、そして、登壇セレブリティに謝礼を払うためにNFT/Web3の世界をこれから構築していく若手から高額のチケット代を搾取する」仕組み自体も攻撃をする。

「横のつながりを大切にするWeb3イノベーションを起こしていくイベントであるべきなのに、Web2の金儲けの匂いしかしない」と。

今年は、昨年の5000人を遥かに超える16000人が参加し、登壇者も1500人を超えた。チケット代は日本円換算で10万円である。会場もタイムズスクエア周辺で7ヶ所ほどの規模である。かなり大規模な仕掛けではあったが、私が会う人々が一様に口にしていたのが「セッション内容が薄いので、外部コミュニティイベントに積極的に参加している」である。

セッションも20分や10分という非常に短い尺のものが連続するため聞き応えがなかった。昨年と比較してはいけないかもしれないが、昨年のクエンティン・タランティーノ監督のNFT参入、Wikipediaのジミー・ウェールズのWeb3論、Redditのアレクシス・オハニアムのセッションなどは聞いていてワクワクした。今年はスパイク・リー監督のNFT参入が注目のひとつだったと思うのだが、NFT.NYC以前にニュースになっていたので特に驚きはなかった。

しかし、とても重要なメッセージが聞けた。彼はニューヨーク大学(NYU Tisch School)の教授としての顔も持つのだが、映像もNFTも全て学び続ける姿勢の大切さを語っていた。「自分がすべてを知っていると思うような場所には、決して行かないこと。そして、この地球上で息を引き取る最後の呼吸まで学び続ける姿勢であるべきだ」

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さて、ここでセッションキャンセルをした ANONYMONUS の発言を改めて考えてみたい。

私もイベントを主催することが多いので、今までのWeb2型とWeb3型でのイベントの作り方は大幅に変えないと危険であることを気付かされた。大規模集客を目指すイベントはこれかも残るであろう。

ただWeb3の場合は1人ひとりがオーナーシップを持ちながら、同時にインディペンデント(独立)していることを尊重していかなければいけない。大会場で、著名人を呼び、高額な入場料を支払うイベントモデルから、少人数であっても、自分が作りたい未来を一緒に語ることができる仲間とのイベントモデルがWeb3には求められる。

その中で、自分も創業メンバーの1人として参加しているMeebitsDAOのミートアップは居心地が良いものであった。MeebitsDAOは、CryptoPunksと同じLarvaLabsが生み出した初期3DモデルのPFP(ProFile Picture)であるMeebitsを、さまざまなメタバース間で動かす「オープンメタバースを作る」DAOである。
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文=西村真里子

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