NFT.NYC レポート「コミュニティの声から拾うNFTの価値」

NFT.NYC 2022レポート


NFTの現時点での売り上げのTOP3は、PFP(ProFile Picture)、コレクティブ、 アートである。今後DeFi、ゲーム、音楽、写真、そしてなんとフォントもNFTとして可能性があるという。

フォントもNFTになるというのは、習字文化を持つ日本からのNFTの可能性も高そうだ。そして、写真についてはニューヨークの写真家(@Crissibeth)から面白い意見をもらった。「今は世の中全て動画が主流となっていますが、NFTにより写真の可能性がより高まると考えています。よって、写真家としてはNFTの成長がとても気になっています」 

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今回のNFT.NYC関連イベントとして、SuperRareがギャラリーでNFTを展示していたのだが、そこでも写真の存在感が大きかった。紙に印刷するよりも彩度/明度が鮮やかになる分、今までにない迫力を感じられる。今後、写真家のNFT活用というところもより注目していきたい分野である。

さて、冒頭の言葉の説明をしよう。

NFTでよく使われる用語で人種差別表現が使われていたことを知っている?


これは、NFTアーティストとして活躍するSwopesの発言だ。Adobe SystemsのPremiereのスプラッシュスクリーンに出てくる女性である、と紹介するとわかる人も多いかもしれない。

JuneTeenthを祝した黒人NFTアーティストのセッションで、彼女は「NFTの世界では、NFTを入手する権利を得ることを『ホワイトリスト』を取得すると表現してきたが、なぜ『ホワイト』が良い権利を得たことを意味するのか?なぜ『ブラックリスト』が警戒すべきリストのことを意味するのか。この言葉の選択自体にも人種差別が現れてきている」と述べた。

それまで何も違和感もなく「ホワイトリスト」という言葉を使っていたことにハッと気付かされた。「ホワイトリスト」ではなく「アロウリスト(Allow List)」と表現するのが良いようだ。NFTの良さとして、人種や性別などの違いを超えて繋がれることが魅力の一つであるのに、使う言葉で誰かを傷つけてしまうのは本末転倒である。

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集客・儲けのために著名人を呼ぶWeb2型のカンファレンスはもう懲り懲り


この言葉は登壇予定であった ANONYMOUS(@anonsvoice)のツイッターでの発言である。NFT.NYC運営が彼の登壇内容を何度も間違えたまま掲載しようとしたり、別の人のプロフィールを無断使用したり、スポンサー企業からのスパムのようなメールが届く状況に疑問を感じ、登壇をキャンセルしたという(参考)。

彼が登壇し、話す予定だったタイトルは「インフルエンサーによる見せかけの宣伝、偽りのポジティブさ、社会階層の不公平の犠牲になる我々一般人」である。自分自身がNFT.NYCに登壇することにより、自分が攻撃対象としている”インフルエンサーによる見せかけの宣伝・偽りのポジティブさ”に自ら陥ってしまうのではないか、そのように危惧して、登壇をキャンセルしたそうである。
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文=西村真里子

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