NFT.NYC レポート「コミュニティの声から拾うNFTの価値」

NFT.NYC 2022レポート

「NFTでよく使われる用語で人種差別表現が使われていたことを知っている?」

「集客・儲けのために著名人を呼ぶWeb2型のカンファレンスはもう懲り懲り」

これらはNFT.NYC 2022に参加した際に、得られた気づきだ。

イベント会期は2022年6月21日-23日。6月はLGBTQIAを祝福するPride Month(プライド・マンス)であると同時に、6月19日は米国で連邦の祝日と制定されたJuneTeenth(ジューンティーンス:アフリカからアメリカ合衆国に連れてこられて奴隷にされた人々が解放された日)でもあり、この期間のニューヨークはNFTコミュニティ、ブラック&カラードコミュニティ、プライドコミュニティがお祝いをする賑やかな期間であった。

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また、マドンナ、エミネム&スヌープドック、ファレル・ウィリアムズなどセレブリティもNFTコミュニティイベントに登場し、少し冷え込んでいるNFT市場へ華やかさを添えていた。ただ、NFTに関しては、楽観視だけが席巻しているわけではない。

NFT.NYCが始まる前の6月15日にはビル・ゲイツが「NFTと仮想通貨投資は金融業界でいう”大馬鹿者”理論が当てはまる」と発言しており、NFTを嫌厭する方々の支持を得ていたが、人気NFTの一つ「Bored Ape Yacht Club」がクルーズ船を貸し切り豪勢なパーティーをしている姿を見ると、確かにNFTバブル感は否めない。

ただ、NFTおよびWeb3に取り組み・関心を持っている人が少なくともNFT.NYCカンファレンスには16000人登録し、カンファレンス外で400以上のコミュニティイベントが行われており、「これから私たち自身がNFT, Web3を作り上げるのである」という、気概のある発言やセッションも多く見受けられ、熱狂は続いている。

ビットコイン・イーサリアムの価格が下落しているが、NFTの取引量は増えていたりと、何が正解かはまだ見えない。正解があるのかどうかもわからないが、NFT, Web3の世界観を信じ、行動を起こしている人の熱量は多く感じられた。

特に「クリエイターズエコノミー」という言葉の通り、クリエイター達がNFTの存在によって新たなマネタイズの恩恵を受けているのはとても嬉しい事象である。「クリエイターとして生活をすることができるようになった」という発言を多く耳にすることがあり、NFTの現時点での最大の功績は新たなクリエイターズエコノミーを創出したことだろう。

私としてとても嬉しかったのは、2009年頃からの知り合いのデジタルアーティスト(@JoshuaDavis)がオークションハウス「クリスティーズ」のオークションに参加していたことだ。



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文=西村真里子

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