ビジネス

2022.07.02

仕事と休暇を兼ねた「ブレジャートラベル」が疲弊したホスピタリティ産業を救う

Getty Images

役員室での時間とビーチでの時間。仕事と休暇の組み合わせ。これこそが「ブレジャートラベル」の背景にある考え方であり、パンデミックに後押しされた持続力をもったトレンドだ。

「ブレジャートラベル」とは?


その名の通り、ブレジャーとはビジネス旅行(出張)とレジャー旅行(休暇)の組み合わせだ。出張の仕事の間、前後に長期休暇を組み合わせることをいう。

パンデミックによりリモートで働く人が増え、また旅行を始める人が急増したため、ブレジャーはここ数カ月で驚異的な成長を遂げた。

ブレジャーはパンデミック以前から成長していたが、最近になって急成長している。2022年以降、従来までの出張を凌駕する勢いだ。89%の人が2022年、出張に個人的な休暇を加える予定で、その多くは家族や友人を同伴する予定だという。

特にここ数年続いた激動の年を経た今、その魅力を理解するのは簡単なことだ。会議やイベントのために出張し、その地域で長期休暇を過ごしながら、リモートで仕事をすることができるのだ。

ホスピタリティ産業にとっての意味


過去数年の困難な時期を経て、ブレジャートラベルはホスピタリティの新しい機会への扉を開き、ビジネスや遊びのために旅行する新しいタイプの旅行者を作り出す。この新しいタイプの旅行によって、ホスピタリティ企業はサービスを調整し、カスタマイズする機会を得た。ここでは、ブレジャートラベルがもたらす4つの影響と機会について説明する。

出張者をロイヤルゲストに


ブレジャー旅行者の多くは、仕事と休暇の両方で同じ場所に滞在する。つまり、これまで出張者向けだったホテルが、リラックスできる側面をアピールし、すばらしい体験を提供し、ロイヤルゲストを生み出す新たな機会を手に入れたということだ。このようなホテルは、ツアーパッケージや事前に計画された旅程でビジネス客を魅了し、一緒に訪れる家族やパートナーに合わせたアメニティやサービスも提供することができる。

ワークスペースとリラクゼーションの融合


ブレジャー旅行者の多くはまだリモートで仕事をしており、チェックインするための場所を必要としている。フレキシブルなワークスペースやミーティングルームを設置するホテルも増えている。しかし、旅行者は休暇中に仕事と繋がる必要性を感じなくてすむよう、リラックスするための場所も必要としている。ホスピタリティ企業は、旅行者が自分の責任から解放され、簡単に区分けできるようにすることで、リラクゼーションの必要性を引き出すことができる。

ロケーションを紹介する


もはや会議のためだけの旅行ではない。目的地でさまざまな体験ができることが重要なのだ。多くの場合、ブレジャー旅行者は会社が航空運賃を負担してくれるため、食事や娯楽、ツアーにもっとお金をかけたいという意欲がある。しかし、ブレジャー旅行者は事前にすべてをリサーチする時間がないこもあるだろう。このような旅行者にとって、手軽さは非常に重要となる。ホスピタリティ企業は、1日ツアーや充実した小旅行など、没頭できるような体験を提供するために他社と提携することができる。

旅行スケジュールの更新


出張者は、平日しかその場所に滞在しないことが一般的だ。しかし、ブレジャー旅行者は週末まで長く滞在するため、毎週の予約パターンが大きく変わることとなる。平日はビジネス客、週末はレジャー客という明確な線引きはもはや存在しないのだ。理想のホスピタリティ企業は、1週間を通してあらゆるタイプの顧客にサービスを提供し、日にちに関係なく、オーダーメイドのサービスや提案を提供できるように準備している。

ここ数年の激動の時期を経て、ホスピタリティ産業は変革のときを迎えている。そして、ブレジャートラベルは、物事が良い方向に変わるきっかけになるかもしれない。

翻訳=Akihito Mizukoshi

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事