中絶違憲判断は、ジェンダーだけでなく貧困層への攻撃でもある

Photo by Tasos Katopodis/Getty Images


性と生殖に関する健康・権利を研究する組織、米ガットマッハー研究所によると、中絶を受ける人の75%は、公に認められるレベルでの貧困者層か低所得者層であることが判明している。ほぼ半数(49%)が貧困レベル以下で、26%が貧困レベル以上だが、貧困レベルギリギリの人たちもかなりいる。年齢別に見ると、約60%が20代、12%が10代。人種別に見ると、白人39%、黒人38%、ヒスパニック系25%、アジア・太平洋諸島系が6%だった。

さらに宗教的に見ると、「24%がカトリック、17%が主流派プロテスタント、13%が福音派プロテスタント、8%がその他の宗教と自認していた。中絶者の38%は、どの宗教組織にも属していなかった」という。

費用面では、「中絶者の35%が、米連邦政府の低所得者向け医療保険制度『メディケイド』に加入しており、31%が民間保険、3%がいわゆるオバマケアによる健康保険購入ウェブサイト『HealthCare.gov』を通じた保険か別の種類の保険に加入していた。中絶者の半数以上(53%)が中絶費用をポケットマネーで支払っていた。2番目に多い支払い方法はメディケイドで、24%の中絶者が利用していた。

つまり、貧困層や低所得者層の割合が異常に多く、その多くがしっかりとした保険に加入していない。半数以上がポケットマネーで支払ったということだが、そのなかには経済的に安定していない人たちが含まれているはずだ。中絶に反対する共和党支持者が多い州の人たち、少なくとも他の州に簡単には行けない人たちにとってのコストは、今上昇している。

反撃のためのリソースを持たない人たちに、要求を突きつけるのは簡単なことだ。米国ではしばしば起こることだが、お金のない何百万もの人々は、他の人からこう見られたいと望む人々の、欺瞞的で善人ぶった自己イメージの代償を払うことになるのだ。

翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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