ネットフリックスの広告導入は多くの人に変化と「得」をもたらす

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世界で唯一のグローバルメディア企業であるネットフリックスにデジタル広告が登場する。これはメディア界における重大な分岐点であり、投資家にも大きな変化をもたらすだろう。

ネットフリックスの最高経営責任者テッド・サランドスは先週、ストリーミングメディア企業である同社が広告を正式に導入することを明らかにした。この発表は180度の方針転換であり、多くの企業にとって画期的なことだ。

ネットフリックス、トレードデスク、アルファベット、その他デジタル広告分野の企業で投資家が期待すべきことだ。

ネットフリックスは間違いなくエンターテインメントメディアで最も重要な企業だ。米カリフォルニア州ロスガトスを拠点とする同社は、2021年に170億ドル(約2兆3215億円)を制作に費やした。そして、毎月2億2000万人の有料会員を抱え、多くの人の目に入る存在だ。その終焉の噂はかなり誇張されている。

2007年にストリーミング配信を開始して以来、同社の首脳陣は断固として広告に反対してきた。オンデマンドで途切れることのないエンターテインメントが売りだというのが、彼らの主張だった。それは顧客が集まる差別化要因だった。

2019年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)では、大手テレビメーカー各社の幹部がネットフリックスのアプリを薄型テレビに導入するとアピールしていた。ネットフリックスアプリがなければテレビはほとんど売れないと主張したのだ。

広告がすべてを変える。広告はサランドスが「絶対にありえない」といった邪魔者だ。その後、ネットフリックスの成長は鈍化し始めた。同社は4月、第1四半期に20万人の加入者を失ったと発表した。

広告つきの低価格帯サービスは犠牲をともなうものの、加入者数の伸びを復活させる可能性が高い。

サランドスは先週、業界誌『ハリウッドリポーター』に、広告なしのサービスは高すぎて払えないような顧客にも、広告によってネットフリックスを提供することになると語った。

特に新興市場では、彼のいうとおりだ。残念ながら、広告の導入は月額料金が安くなるならコンテンツが中断しても構わないという既存の加入者を呼び込む可能性もある。

発表後の反応を見ると、ネットフリックスの投資家は利益率への懸念から株式を売却する可能性が高い。短期的には株価にとって逆風となる。長期的には、ネットフリックスの広告はトレード・デスクとアルファベットにとって大きな利益となる。
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翻訳=溝口慈子

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