S&P500種指数は6月13日、1月につけた過去最高値から20%以上下落して、正式に弱気相場入りを果たした。先週はやや反発する局面もあったが、その後も株価の下落は続いている。
ビスポーク・インベストメント・グループによると、「全く同じ弱気相場は二つとない」とのことで、第2次世界大戦以降の弱気相場の半分以上はリセッションにつながったが、リセッションに至らない弱気相場は短命に終わる傾向があるという。
CFRAリサーチの投資ストラテジスト、サム・ストボールは、「今回の強気相場がピークから20%下落するまでに要した日数は、わずか161日で、過去の弱気相場の平均の245日に比べると短い。これは良いニュースと言える」と指摘した。
1945年以降のS&P500の動きを分析すると、弱気相場への「素早い」下降は、40%以上の下落を意味する「メガメルダウン」ではなく、より「浅い」下落で終わる場合が多いとストボールは述べている。
過去にS&P500が平均以下の時間で20%下落した弱気相場は5回(1961年、1966年、1987年、1990、2020年)あったが、いずれも市場の平均下落率は27%未満だったとストボールは述べている。
CFRAのデータによると、1945年以降の14回の弱気相場における、S&P500の下落幅の平均は32%で、底を打つまでにかかった時間の平均は12カ月で、そこから平均23カ月で損失を取り戻していた。
直近の、そして最も短い弱気相場入りは2020年3月のことで、パンデミックのロックダウンにより米国経済は短期間のリセッションに陥った。しかし、そのリセッションは過去のどれよりも短く、わずか1カ月で終わっていた。
アリーのストラテジストのリンゼイ・ベルは、現在の弱気相場が「比較的軽い」と指摘し、FRBが「インフレを押し下げる」ことができれば、「穏やかな景気減速にとどまる可能性が高い」と述べた。さらに、いったん株価が底を打てば、その後1年間のリターンはかなり強力になると付け加えた。
「2000年から2002年、2008年から2009年に見られたような本格的な危機と景気後退が回避されれば、今回の弱気相場はすぐに底を打つかもしれない」とLPL Financialのストラテジストのライアン・デトリックは予測する。
過去5回の弱気相場の半分以上が3カ月以内に終了していることから、彼は「現在の弱気相場は多くの人が予想するよりも早く終るかもしれない」と述べ、「この弱気相場がどう終わるかは、インフレ率が低下するペースに左右され、FRBの利上げのタイミングや規模もそれに応じたものになる」と指摘した。