これは6月9日に公表された同国の最新公式発表以来、11例増えた数値だ。罹患した患者の大多数(180名)がイングランド在住で、32名がスコットランド、17名がウェールズ、22名が北アイルランドにそれぞれ住んでいる。
英国保健安全保障庁は、同疾病に関する最新情報を定期的に発表しており、週当たりの新規症例の増加傾向は減速しているという。
世界では約650例の肝炎を疑われる症例が、5月26日時点で世界保健機関(WHO)に報告されている。WHOはその後世界の数値を新たに発表していない。
この病気は今でも非常に稀だと考えられているが、その帰結は重篤になりうる。英国ではこれまでに数十人の小児患者が、発症後に肝臓移植が必要となっている。
これまでに英国内でこの疾患による死亡例は報告されていないが、世界では少なくとも5名が死亡した可能性がある。
調査は進行中
なぜこの数カ月間に小児急性肝炎が増えているのか専門家にもわかっていないが、調査は進められている。英国の科学者らは、アデノウイルスと呼ばれる種類のウイルスが関係している可能性を考えているが、まだ結論を出す段階ではない。
アデノウイルスは風邪(普通感冒)を含むさまざまな疾病の原因になりうる。
陰謀論者の中には、新型コロナウイルスワクチンが原因であるという誤った主張をするものもいるが、患者のほとんどは接種を受ける年齢に達していない。
英国における症例は5歳未満の小児に発生する傾向がある。多くの場合、吐き気と下痢などの後、黄疸症状を起こす。
子供では「極めて稀」
英国保健安全保障庁の新型コロナウイルス担当責任者、アリシア・デマージアン医師は、肝炎が小児ではいまだに「極めて稀」であることから、親は「過剰に心配」すべきではないと語った。
「頻繁によく手を洗うなど、子どもたちに通常の衛生対策を確実に実施させることが良い行動習慣だ。それがアデノウイルスを含む多くの一般的感染症の蔓延を防ぐのに役立つ」と同氏は付け加えた。
「今後も我々は、肝炎の兆候、特に黄疸症状に注意するようすべての人に呼びかけていく。白目に黄ばみがないか注意を払い、心配なときは医師の診断を受けることをお勧めする」