1年中売られていて、安価な値段で手に入る黄色いフルーツ。そう、バナナである。
2000年代に入り、それまで不動の1位を誇っていたミカンを追い抜いて1位となった。
今回は、そんな人気の果物バナナの知られざる3つの闇について解説していく。
バナナの産地はどこ?
ほとんどのバナナは、インドや中国、インドネシアといった南北緯度30度のバナナベルト地帯にある国で生産されている。
そのため日本で流通するバナナはほぼすべてが輸入品となっており、その約8割がフィリピン産、約1割がエクアドル産である。
日本へ大量のバナナを提供しているフィリピンのバナナ農園で何が起きているのだろうか。真実を見ていこう。
農薬の健康被害
プランテーションで育てられるバナナは病気や害虫、カビに弱いため、大量の農薬が投入される。
バナナは背が高く、上部にある葉まで効率的に散布するには小型飛行機による空中散布が必要になる。
空高くから散布された農薬は、毒の雨となってバナナ農園で働く労働者や周辺地域に住む人々に浴びせられ、皮膚が激しい炎症を起こしたり、失明したりしているのだ。
劣悪な労働環境
フィリピンのバナナ農家の多くは日本向けに生産する契約を結んでいるが、その悪質な契約内容が課題となっている。
契約時に口頭で5年と説明されたにも関わらず、契約書に署名した後に会社都合で25年と書き入れられたり、生活もままならないほどの安い価格で買い取られたりといった事例がある。
家族や親戚がバナナを売って収入を得ているケースが多く、企業からの報復を恐れて声を上げられないのだ。
価格の上がらないバナナ
出典:総務省統計局「小売物価統計調査報告」/バナナ大学(https://www.banana.co.jp/database/statistics/)
グラフからわかるように、りんごとみかんは国産品が主であるため、日本の物価が上がると価格が上昇している。一方、輸入品が主なバナナは40年ほど前から一定の価格を維持している。
かつては高級品だったが、農家と契約を結んでいる大企業がバナナの取引金額を低くコントロールしているため、労働者の賃金が上がることなく価格が低いままとなっている。
「物価の優等生」として消費者に親しまれてきたが、その裏には農家が苦しめられている現実があったのだ。