同ランキングでは、医療やインフラ、教育、治安、文化・スポーツ活動の機会、緑地など30項目以上を基に世界中の172都市を評価。今年はオーストリアの首都ウィーンが首位に輝いた。昨年1位だったニュージーランドのオークランドは、新型コロナウイルス関連の規制などにより34位に転落した。
ウィーンは18年と19年にも首位に立っていたが、博物館・美術館やレストランが閉鎖されていた昨年は12位に転落していた。今年首位を奪還した理由として、安定性や、優れたインフラ・医療体制、文化・娯楽の機会が豊富にあることが挙げられている。
西欧からは他にも、デンマークの首都コペンハーゲン(2位)、スイスのチューリヒ(3位タイ)やジュネーブ(6位)、独フランクフルト(7位)、オランダの首都アムステルダム(9位)がトップ10に入り、人気都市のパリ(19位)やロンドン(33位)、バルセロナ(35位)を上回った。
カナダでトップ10入りした3都市はカルガリー(3位タイ)、バンクーバー(5位)、トロント(8位)。米国からは、トップ10に入った都市はなく、昨年から順位が特に大きく変動した都市はロサンゼルス(18位上昇の37位)とヒューストン(25位下落の56位)だった。
オセアニア地域の都市は、昨年から大きく順位を下げた。昨年のランキングでは、国境封鎖により新型コロナウイルス感染者数が低く抑えられていたオーストラリアとニュージーランドの都市がいずれも上位に入ったが、昨年末に感染力の強い変異株が出現したことにより、国境封鎖の効果が下がった。
昨年首位だったオークランドは今年、34位に転落。同様に、昨年はメルボルン、ブリスベン、アデレード、パースの4都市がトップ10に入っていたオーストラリアでは今年、メルボルン(大阪とタイの10位)のみがかろうじてトップ10入りし、他都市は27位以降となった。
ウクライナの首都キーウは、2月に始まったロシアの侵攻を受け、今年は評価対象外となった。ロシアの首都モスクワと第2の都市サンクトペテルブルクは、「検閲」や西側諸国の制裁の影響で順位が後退した。
下位10都市のうち7つは中東・アフリカの都市で、戦争や紛争、テロが低評価の要因となった。最も住みにくい都市はシリアの首都ダマスカスで、ワースト10位にはこのほか、リビアの首都トリポリ、ナイジェリア・ラゴス、アルジェリアの首都アルジェが入った。
EIUは来年に向け、ウクライナ危機による世界的な価格高騰が各都市の住みやすさに与える影響を注視する方針を示している。