もう1つの、おそらくもっと影響力をもつ連合が、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)と呼ばれる国々であり、先週独自のサミットを開催した。この強力な5カ国は32億人の人々の母国であり、地球上で最も生産性の高い経済を担っている。G7メンバーと同じように、これらの国々もそれぞれ重視すべき国益があるばかりでなく、メンバー国であるロシアとの関係を持っている。
これに加えて中国とロシアはいずれも2021年来、ロシアにとって重要な石油貿易パートナーだ。これらの国々が欧州、米国、日本、カナダの利益に合わせるためだけに、自らの国益を放棄することを期待することは理に適っていない。しかし、彼らの協力、とりわけ中国とインドの協力は、こうした上限価格設定計画を実現するためには決定的に重要だ。
ワシントン・ポストの記事はこうも書いている。「しかしながらG7計画の詳細は上限価格をいくらにするのか、どれほど有効なのか、リーダーらが最終合意に達するのにどれほど時間がかかるのかなどを含め、その大部分が明らかになっていない」。そしてもちろん、G7のメンバーではない188カ国のうちどの国が、そうした計画に協力する意志を持っているのかも明らかではない。
こうしてみると、古のイングランド王クヌート1世が、思い上がって波に「止まれ」と命じようとしたとされる神話を思い出さずにいられない。それは、明らかに王が持っていない力であり、実際臣下にもそれを認めていた。ロシア産石油の流れを追跡し、そこに支払われる価格を制限しようとするG7首脳たちは、クヌート王が波を支配するのに必要とした力ほどの力も持っていないことに気づくに違いない。