認知科学者が教えるプレゼン時にプレッシャーで窒息しないための訓練方法

バーナード大学の学長で、ベストセラー『Choke』の著者シアン・リア・ベイロック(Getty Images)

シアン・リア・ベイロックは、認知科学者であり、プレッシャーの中で最高のパフォーマンスを発揮するための専門家だ。ベストセラーとなった著書『Choke』で、ベイロックはオリンピック競技や受験テスト、人前で話す機会など、不安を感じやすい出来事において自信をつけるための方法を明らかにしている。

ベイロックは2017年、TEDカンファレンスに招かれ、ライブで聴衆に自分の研究を発表した際、プレッシャーに満ちた機会に直面した。現在、ニューヨークのバーナード大学の学長を務める同氏は、先日、TEDの準備のために自身の研究を適用したことについて話してくれた。

ベイロックは、TEDの聴衆は、プレッシャーで窒息しない方法について教えてくれる専門家に大きな期待を寄せているだろうと感じた。そしてそれは、TEDで講演するということだけで感じるストレスのさらに上にのしかかる。

「私は人前で話すことが多いのですが、TEDの講演はオーラがあるので特に緊張しました」とベイロックはいう。「しかも、母が見に来てくれて、さらにプレッシャーが大きくなりました」

ベイロックは、ストレスの多い状況で不安を和らげるための効果的な方法を適用した。彼女はこれを「プレッシャートレーニング(プレッシャー下で訓練すること)」と呼んでいる。

軽いプレッシャー下で訓練する


プレッシャートレーニングとは、簡単にいえば、ストレスホルモンが増加する環境でスポーツやスピーチの練習をすることだ。オリンピック選手や、大事なプレゼンを控えているビジネスマンにも有効な方法だ。

「軽いストレス下で練習しておくと、いざというときに息が詰まるのを防ぐことができます」とベイロックはいう。

例えば、上司から頼まれたZoomのプレゼンを控えていて、不安な気持ちになっているとしよう。「弱いストレス」下での練習の簡単な例としては、自分しか招待されていない会議のスケジュールを組むことだ。プレゼンテーションスライドの画面を表示させ、画面を共有し、「録画」ボタンを押し、最初から最後までプレゼンテーションをする。改善できる部分を特定し、次回の練習をする。そしてまた次の練習。そしてまた次だ。
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翻訳=Akihito Mizukoshi

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