1900年のこの日、サン=テグジュペリはフランス・リヨンの伯爵家の長男として生まれました。幼少の頃から飛行機に憧れ、長じてからはサハラ砂漠を縦断する郵便飛行機のパイロットをしながら、26歳のときに作家デビューを果たします。
当時はまだ航空路も開発途上の黎明期。飛行機乗りとして数々の危機も経験し、孤独や死の恐怖、人の絆の大切さを知ったといいます。そうした経験をもとに、第2次世界大戦中に亡命先のアメリカで執筆したのが「星の王子さま」でした。
「星の王子さま」では、サハラ砂漠に不時着したパイロットと小さな星からやってきた王子さまの心の交流が、さまざまなエピソードを交えて描かれています。
特にパイロットである主人公と王子さまの出会いのシーンは印象的です。これまで親身になって話し合える人がいなかった主人公は、王子さまに1枚の絵を描きます。子供の頃に大人たちから「それは帽子だろ」と言われていた絵を、王子さまはひと目見て「ウワバミに呑み込まれているゾウ」だと言い当てるのです。
それは、大人たちと子どもの考え方の違いを語るものであり、「大切なことは目には見えない」というメッセージでもありました。
「星の王子さま」が1943年にニューヨークで刊行されてまもなく、サン=テグジュペリは戦線に復帰、翌1944年、偵察飛行に出たまま消息を絶ちました。しかし、彼がこの作品で残したメッセージは多くの人々の心を捉え、これまでに300以上の言語に翻訳されました。「星の王子さま」の総部数は2億冊を超え、いまもなお世界中で愛され、読み継がれています。
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