顧客は200社近くあり、そのほとんどが他のデジタルヘルススタートアップだ。次の目標は、主に病院や医療保険会社といった大手既存企業に、時間のかかる官僚的な障害を突破するためにメダリオンのソフトウェアを使用してもらうことだ。営業サイクルが長期化し、景気後退の可能性もあることから、ローはメダリオンの既存投資家と話を始めたが、「攻撃は最大の防御」というのがみんなの共通認識だった。
メダリオンはシリーズB資本にほとんど手をつけていないが、市場全体の動向にかかわらず病院や保険会社向けのビジネスを拡大するための3年以上の助走路を確保するために、スパークキャピタルとGVの共同出資で3500万ドル(約47億1600万円)のシリーズCを先取りで調達した。
このラウンドには、既存の投資家であるオプタムベンチャーズとセコイアに加え、セールスフォースベンチャーズも参加している。この資金調達により、メダリオンの資金調達後の評価額は、11月の2億ドル(約269億4500万円)から3億5000万ドル(約471億3900万円)に増加した。
Forbesの「30 Under 30 Healthcare」の卒業生である27歳のローは、「不況下でも自分たちが望むように成長するための十分な資本を確保したい」と話す。「メダリオンはヘルスケア企業がコンプライアンスを維持し、臨床医ネットワークをよりコスト効率よく管理できるようにするために必要なソフトウェアです」
メダリオンの多くの顧客にとって、摩擦を減らし、管理コストを下げることは重要なことだ。医師、看護師、その他の医療従事者について、各州に特有のライセンス手続きを把握し、保険会社に登録し、資格確認に必要な身元調査を行うという地味な作業には時間、人手、資金を要する。
スパークキャピタルのジェネラルパートナーであるウィル・リードは、「お金を節約して、本当に戦略的なことに集中しようとする人たちが多い中、メダリオンのようなベンダーにこのようなプロバイダーネットワーク管理をアウトソースすることは、非常に理に適っています」と述べている。
メダリオンの主な売りは、ローがいうところの「生産性向上までの時間」の短縮だ。同氏はこれを「新規採用の臨床医か既存の臨床医にかかわらず、患者を診始めるまでに必要な資格確認やコンプライアンスの障壁を実質的に飛び越えるのにかかる時間」と定義している。メダリオンは、プロバイダーの総数に応じて料金を請求しており、顧客は官僚的な業務の頭痛の種を約25万時間分も減らすことができたと見積もっている。