Forbes BrandVoice!! とは BrandVoiceは、企業や団体のコンテンツマーケティングを行うForbes JAPANの企画広告です。

2022.07.08

人生100年時代にサントリーウエルネスが挑む、誰もが自分らしく輝く「共生」社会の実現とは (前編)シニアのお客様との対話から見えてきた「つながり」の重要性

Forbes JAPANは6月9日、「Wellbeing SUMMIT 2022」を開催した。6つのセッションを行い、ウェルビーイングへの感度の高い各界のスペシャリストたちが持論を展開した。

PANEL SESSION 3では[「共生」を実現する社会モデル —自分らしく輝く人生100年時代のWellbeing—In partnership with Suntory Wellness]と題し、医療法人社団悠翔会理事長・診療部長の佐々木淳とサントリーウエルネス代表取締役社長の沖中直人が登壇。Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香がモデレーターを務め、シニアのウェルビーイングについて語り合った。その模様を前後編に渡ってお伝えする。



改めて気づく「シニアこそ多様性」


谷本有香(以下、谷本) 団塊の世代がすべて75歳以上になり、全人口の4人に1人がシニアになると言われているのが2025年。労働力不足、社会保障の増大などさまざまな問題を抱えているこの高齢化社会の日本において、新型コロナウイルスという新しいファクトも加わりました。このウィズコロナの時代において、孤立であるとか分断といったものが進むことによって、特にシニア層のフレイル(虚弱)がより進行するのではないかという危惧も指摘されています。そうしたなか、人はいつから長生きすることに不安を抱えるようになったのでしょうか。年齢や身体の状態に関わらず、誰もが自分らしく輝く社会を実現するためにどういったことが必要なのでしょうか。

佐々木淳(以下、佐々木) 私たちは主に首都圏を中心に在宅医療を提供し、全国21の診療拠点から100名の医師とともに、常時7,000人の在宅患者さんたちの療養生活のお手伝いをしています。私は在宅医療という仕事を通じて、これまで高齢の患者さんたちに向き合ってきました。

患者さんたちの多くは要介護状態であったり、病気があったりということで、健康状態に大きな問題がありますが、それだけではありません。健康を失っていくというプロセスのなかで、社会参加の機会を失ったり、生活のなかで自分ができる範囲がどんどん狭められていったりすることで、生きていることに楽しみを感じられない。ちょっと言い方が悪いかもしれませんが、残りの人生をいかに消化するかというところで悩んでいらっしゃる方も少なくないのです。

でも多くの方を見てきたなかで、要介護状態やすごく重たい病気があっても幸せに生きている方もいらっしゃいます。なぜこの人たちは幸せに暮らせるのだろうと考えると、その人らしい生活、その人が送りたい生活を送れているからです。

沖中直人 サントリーウエルネス代表取締役社長


沖中直人(以下、沖中) 私が社長を務めるサントリーウエルネスはサントリーグループの中で主に健康食品事業、スキンケアを中心とした美容事業を展開しています。当社の製品は60代から90代の多くのシニアの方にご愛用いただいており、年間延べ200万人を超えるお客様と日々いろいろなやりとりをさせていただいています。そうしたなかで、さまざまな気づきをいただき、学びながら事業を展開しています。

私も50歳を過ぎましたが、私も社員も70歳は一度も経験したことがないので、シニアのお客様のことを本当の意味で理解するのは難しいことです。ですので、全社員一人ひとりがお客様に対し、現在の健康状態や日々の暮らし、いまの思いについてオンラインでインタビューをさせていただいています。これまで約700人のお客様のお話を伺い、計2,800時間をかけて社員がお客様に向きあってきました。お客様との対話を通じてまずはご経験や現在の生活を少しでも想像し、共感しようと努めて、そこから何かソリューションが生み出せないかを考えています。それをひたすらやり続けることでわかったことが、いくつもあります。

ひとつはいま、多様性が叫ばれていますが、実はシニアの方こそ多様性をもっているということです。多様性には身体的な多様性や価値観の多様性などいろいろあると思うのですが、年を重ねれば重ねるほどいろいろな経験をされているので、とにかくものすごく多様性にあふれています。でもいま世の中では、多様性というと若い世代の方だけにフォーカスされがちで、シニアの方の多様性には向き合っていません。私たちはそこに向き合う会社でありたいということを、社内で強調しています。

人とのつながりが何よりも大切


お客様へのインタビューでは、具体的には3つの発見がありました。1つは当たり前かもしれませんが、多くの方が薬と共に生きていて、何らかの病気を抱えていらっしゃるということ。それでも幸せだとおっしゃる方はいっぱいいらっしゃいます。それから2つ目は、サントリーのことを信頼していただいている方が多い。サントリーに対してものすごく高い期待をもっていただいていて、もっと世の中のためになることをしてほしいというご要望をたくさんいただきました。そして意外だったのは3つ目。経済的に豊かで健康であっても、人とのつながりがなければ幸福ではないということです。それがものすごく私たちとしては、大きな発見でした。

谷本 つながりというキーワードが出ましたが、東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)が社会福祉協議会とUR都市機構と連携して行った千葉県柏市の豊四季台団地の「地域活動館」に関する調査で、とても興味深いデータが出ています。「地域活動館」は地域のシニアが集まり、音楽や習字などの文化活動を行う場所です。

調査によると、地域活動館の参加者は高齢になるほど、他の社会活動は減少しているにも関わらず、地域活動館での活動数は増えているということです。また、地域活動館の参加者は参加していない人に比べ、他者とのつながりが年齢を重ねても保たれているということもわかりました。これにより、地域活動館がシニアの人とのつながりを生み、孤立予防の一端を担ったということが考察されます。


佐々木淳 医療法人社団悠翔会理事長・診療部長

佐々木
 人と人とのつながりが私たちの残されている命の時間や生活の質を高めていくということに関しては、たくさんの研究報告があります。特に高齢期になればなるほど、つながりとその人のウェルビーイングとの関連性が大きくなると言われています。

同じ柏市で行われた研究では、介護予防、つまり要介護にならないために何をしたらいいのかが調査されました。一般的には要介護というのは、足腰が弱って動けなくなることだから運動していることがいいのではないかと思われがちです。ところが運動している人たちと、運動はしないけどボランティアなどの地域活動をしている人、みんなで集まって書道などの文化活動をしている人たちとを比べると、介護予防につながっているのは運動ではありませんでした。運動だけやっても、要介護を防ぐ効果は実は少ない。むしろ社会とつながっている、誰かと何かをする、あるいは計画や予定がある、楽しみがあるということのほうが、介護予防につながります。もちろん、運動をするとさらに予防効果が高まりますが、運動が必ずしも必須条件ではないのです。

谷本 とても興味深い結果です。

佐々木 いま日本では、一人暮らしの高齢者が増えていて、約17%が高齢独居世帯です。また、約13%が老老世帯です。私たちが16年前に在宅医療を始めたときは、まだ複数人で暮らしているお家が多かったのですが、最近ご紹介いただく患者さんの3人に1人は一人暮らしです。

ただ確かに一人暮らしの人はリスクが高いのですが、ときどき誰かと会ったり、ご飯を食べたりする機会があると、人と一緒に暮らしているのと同じぐらい健康上のリスクが下がると言われています。逆に誰かと暮らしているのに、いつも一人でご飯を食べているような高齢者は、実は死亡のリスクが高くなるということもわかっています。日々暮らしていくなかで、人と人とのコミュニケーションやつながりを実感できる場があることは、誰かと暮らしているということよりももっと重要なのかもしれません。

沖中 そういった意味で私が思うのは、人や自然とのつながりで重要なのは「質」と「量」だということです。ホモサピエンスが誕生してからの歴史を見るとわかりますが、シニアだけの問題ではなく、若い人も人や自然とのつながりの質と量が豊かでないと、心が病んでしまう。それはホモサピエンスの宿命です。

年を重ねると、いろいろなコミュニティから離れていきます。具体的には定年退職されたり、子どもが巣立ったり、連れ合いのどちらかが亡くなったりする。ところが、今の社会は、年を重ねるとつながりがどんどん減っていってしまうという現実にきちんと向き合えていない。それは、人生100年時代というものを、おそらく誰も想像していなかったからだと思います。平均寿命は明治時代まで60歳くらいでした。急激に伸びた寿命に社会が対応できてないことに、問題があるのではないかと思うのです。私たちは地域社会と一体となり、人と人とのつながりを醸成するための活動を推進しています。

それはJリーグと取り組んでいる「Be supporters!(ビーサポーターズ)」という活動です。サッカーには「サポーター」という言葉がありますが、この活動でサポーターになるのは高齢者施設で暮らすシニアの方々です。コロナ禍で家族とも会えない、地域とも分断されるという状況のなか、普段は周囲に支えらえる場面の多いシニアの方々が、サッカークラブの「サポーター」になることで、クラブや地域を「支える」存在になることを目指します。20年からこれまで計4クラブと活動を推進していますが、特に「カターレ富山」では専門家の方々も驚くような展開になっています。

(後編へ続く)



ささき・じゅん◎医療法人社団悠翔会理事長・診療部長。1975年、京都府生まれ。98年、筑波大学医学専門学群卒業、三井記念病院内科入局。2003年、東京大学医学系研究科博士過程入学。06年、MRCビルクリニック開設。08年、同クリニックを悠翔会と改名し現職。

おきなか・なおと◎サントリーウエルネス代表取締役社長。慶應義塾大学法学部政治学科。卒後の1991年、サントリー入社。「伊右衛門」の開発でチームリーダーを務め、大ヒットの立役者となる。サントリー食品インターナショナル常務執行役員などを経て2020年より現職。

Promoted by サントリーウエルネス / text by 大橋史彦 / photographs by 後藤秀二 / edit by 高城昭夫

ForbesBrandVoice