ビジネス

2022.06.27 20:00

「おしゃべり」というイノベーションの原点


中道:どうしようもなくなってしまう経験ですね。

藤吉:例えば、取引先の大企業から「コストカットで原材料費をもっと安くしろ」とか言われちゃうと、もう立ち行かなくなるんですよね。そういったときにオリジナリティやクリエイティビティをどうやって出すか、ここが勝負ですよね。こういういきさつはドラマになりそうな話ばかりなんですよ。

中道:普段からもクリエイティビティが発揮できるようになると、もっといいんでしょうけどね。

藤吉:発注側と受注側という縦関係しかなく、今日お話しした「対等に交流する場」がたぶんないんですよ。八尾市は関係ない人たちとおしゃべりする場を作って成功しましたが、これは海外もそうなんですよね。

イタリアのボローニャって、車メーカーのランボルギーニやマセラティがあったり、靴や繊維の会社も多いエリアなんです。一番有名なのは紅茶のティーバッグの包装で、“パッケージングバレー”って言われていたり。いろんな製造業が出てくる背景にはカフェ文化があります。

夕方になって仕事が終わると、地位や職業に関係なく、いろんな人がオープンカフェに集まるんです。社長もいれば従業員もいるし、大学の先生も市長もいる。そこでワイワイガヤガヤおしゃべりする中で、「それ面白いからあの大学の先生呼ぼうか」となったり。



こういうカルチャーがあると続くんですよね。自分たちのリソースを使ってとにかく面白いことをやろうっていう発想が、常に頭の中にあるから。こういうカルチャーを、日本の地域でもできるんじゃないかと思ってます。

エコシステムを作るところから始めなきゃいけないですが、実は僕が思っていた以上に早く広まってきている印象もあります。地方に行けば行くほど、面白い人たちが出てきてます。

中道:そういう各地のいろんなアクションを伝えたいですよね。

藤吉:大手メディアではニュースにならないじゃないですか。Forbes JAPANはどちらかというと、マスを狙うのではなく、共感できる人たちをどんどん繋いでいきたいっていう思いがあるんです。その感度の敷居は下げたくない。最先端の面白いものを種として撒いて、それに賛同してくれる人たちを増やしていく。仲間を増やすという発想ですね。

中道:そうですね。このプログラムを通して、まさに僕らも一緒に仲間を作っていく活動を始められることはすごく嬉しいことで、本当に楽しみです。

文=小谷紘友 編集=鈴木奈央

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