また、アートとファッションを好む人なら、「世界一有名なカレンダー」を作り、注目され続けてきていることをご存知だろう。
そのピレリ社が今月、「150周年」を祝ってイタリア大使館で新製品の発表会を行った。同社はイタリアを代表するグローバル企業の一つであり、フェラーリやランボルギーニなどのプレミアムカーに純正装着されるタイヤブランドとして知られるようになった。
ピレリジャパン 代表取締役社長 フィリッポ・シブラリオ
150周年を迎えるにあたって、日本市場のために特別に開発された「アイス ゼロ アシンメトリコ」という冬用のスタッドレスタイヤが披露された。ピレリジャパンのフィリッポ・シブラリオ社長によると、日本は雪がとても多い国だし、ユニークな雪質や道路状況に合わせてデザインしたという。
ピレリP-Zeroを履いた3億円のフェラーリ・モンツァSP2
しかし、正直なところ、同社は単なるタイヤメーカーを完全に超えている。どのタイヤメーカーでも、文化度を強化する使命がある。フランスのミシュラン社は、マシュマロみたいなミシュランマンと、料理界のミシュラン3つ星のシステムを育てたし、日本のブリヂストンは美術館も経営しているし、五輪のスポンサーもしたし、ワールド・ソーラー・チャレンジの独占タイヤ・サプライヤをしている。
ピレリは以前に、タイヤ事業以外、ファッション事業、それに持続可能なモビリティにも携わっていたけど、1964年からスタートした色気たっぷりのカレンダーは、ピレリのブランドイメージをどんどん作り上げていった。
ピレリの特別感やエクスクルーシブ感を出すために、世界を代表する写真家が、エキゾチックなロケーションで超一流モデルや女優を撮影するカレンダーとして世界観を育てていった。世界一の美女たちが登場するこのカレンダーは、業界で「The Cal」と呼ばれるようになった。
どれだけのステータスを保持しているかというと、誰でも知っているようなセレブばかり出ている。例えば、女優のソフィア・ローレン、モニカ・ベルッチ、ケート・ウィンズレット、エマ・ワトソン、ニコル・キッドマン、ヘレン・ミレン、日本で人気のモデルのミランダー・カーやジジ・ハディッド、オノ・ヨーコ、テニスの元女王のセレナ・ウィリアムズなど数多く登場している。登場者が有名なら、それらを撮る写真家も有名でなければならない。
ジジ・ハディッド
ソフィア・ローレンは2007年のカバーを飾った。
カール・ラーガーフェルド、ヘルムット・ニュートン、ピーター・リンドバーグなどの一流カメラマンばかり雇用されているので、毎年個性的なカレンダーは、その衝撃度が圧倒的だ。そして、今年の2022年版には、何と有名な歌手兼写真家であるブライアン・アダムズが担当した。
2009年12月の写真は20世紀を代表する写真家、故ピーター・ビアード
ところで、このカレンダーの格をさらに上げているのが、選ばれた人だけもらえるということだ。そう、このカレンダーは、欲しくても買えない。
ピレリはお得意先や特別なゲストにしかプレンゼントしないので、需要が非常に高い。世界一欲しがられているカレンダーと言えるだろう。