ライフスタイル

2022.07.03 18:00

ニュージーランド写真家トミマツタクヤが語る、かの地で知った「日本とは真逆」の幸福観


人生における優先順位が日本とは真逆だった



ニュージーランド写真家 トミマツタクヤさん◎1986年、福岡県生まれ。大学卒業後、大手企業に就職するも、2013年に世界一周を夢見てニュージーランドへ。しかし数カ月の滞在予定がライフスタイルや心の豊かさに衝撃を受けて1年4カ月を過ごすことに。帰国後は人生観を大きく変えてくれた同国の魅力を伝えるべくニュージーランド写真家として活動。www.tky15lenz.com
advertisement

この本を通じて感じるのは豊かさだ。それは物質によるものではない。トミマツさんも日本で知っていたのとは異なる基準で生きる彼らの姿に惹かれたという。

ニュージーランドでの体験が人生に大きな影響を与えたことは、自身の肩書を“ニュージーランド写真家”としたことにも示される。

ニュージーランドの魅力の伝道者でありたいと思い、ガイドブック取材などを通じて撮影した写真をベースに日本各地で50回を数える写真展&トークライブを行ったりもした。
advertisement

そこまでして日本に伝えたいと思った魅力とは何だったのか?

「まず、人生における優先順位が違うことが印象的でした。彼らが何よりも大切にしているのは家族なんです。2番目が自分の好きなことで、その次に仕事がくる。日本とは真逆だな、と。

それに国を挙げて子供を大切にしています。出産費用はゼロですし、産後はすぐにボランティアの人が国の援助としてケアに来てくれます。

それに母親が体調不良などの理由で子供のケアができない場合、父親が出社せずに育児を行うのは常識的な行動です。

愛する人、家庭を大切にするのは当たり前のことで、そのうえで趣味など自分の好きなことができれば、人生は上々なんです」。

競争社会を生きなくとも幸せに暮らせる社会の在り方は国のカタチが異なるためでもあるのだろう。

エネルギー自給率は日本が10%に満たない一方、ニュージーランドは80%。しかも’35年までに100%再生可能エネルギー化を目標にしている。

さらに日本が40%弱の食料自給率は400%。他国に多くを依存する必要のない状況が一因となって、彼らは自分の生き方をストレートに追求できる。

そこには日本と異なる“幸福観”があり、トミマツさんは大きく魅了された。というのも彼自身、中学受験を勝ち抜くなど幼少期から競争社会を生き続けてきた。

ただ、競争に勝っていた側だから疑問には思わなかった。しかし暗雲が立ち込めたのは社会に出たあと。

毎日満員電車に揺られる生活を何十年も過ごすのは本当に幸せなのだろうか。そのような思いが募り、また程なくして身体を壊してしまう。

システムエンジニアという長時間を着席して過ごす仕事から全身に歪みが生じ、腰を痛めた。しかも半年も歩行不能となる重病だった。
次ページ > 世界一周の旅の予定は最初の国で大変更に

写真=トミマツタクヤ 文・編集=小山内 隆

タグ:

連載

OCEANS × Forbes JAPAN

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事