Luminate Medicalの共同創業者でCEOであるアーロン・ハノン(Aaron Hannon)によると、抗がん剤は副作用を引き起こす場合があり、中でも脱毛は患者のメンタルに多大な影響を及ぼすという。
Luminateは、患者が抗がん剤治療の最中や直後に使用する、脱毛を防止するヘッドセット「Lilly」を開発中だ。Lillyは小さなキャップで、頭に装着すると、頭皮の表面を優しくマッサージし、その圧力によって毛細血管から毛包へ抗がん剤が送られるのを防ぐことができるという。
「抗がん剤が作用している間は毛包を保護し、体内で処理された後はゆっくりと血流を回復させ、通常の方法で毛包に栄養を供給する」とハノンは説明する。
Luminateは、最初の治療を欧州で実施する予定で、9月から10月にかけて行う比較試験の最終日程を確認中だ。同社は、2023年末に米国での販売を開始するため、FDA(米食品医薬品局)に認可申請を行う予定だ。
Lilyは、固形がんの大半を対象としているが、血液系のがんは対象としていない。前臨床試験では、約80%の被験者において高い脱毛防止効果が見られ、毛包周辺の血流が最大90%抑制されたという。
Luminateの設立のきっかけは、アイルランド国立大学ゴールウェイ校でメディカルエレクトロニクスを教えるMartin O’Halloran教授が、当時学生だったハノンに同校の研究室での仕事を提供したことだった。ハノンはそこで、共同創業者のBarbara Oliveiraに出会った。
「私は、身体障害者の生活を支援する機器を開発しており、BarbaraはO’Halloran教授から乳がん研究の指導を受けていた。隣に座ったことで、我々には共通のアイデアが沢山あることに気が付いた」とハノンは話す。