同社のジョン・コナーズ(John Connors)CEOは、この調査についてこう説明する。
「CMOがCEOにどう評価されているのかを明らかにした情報はほとんど存在しないので、それを突き止めたいと考えた。そうして得た結果を、CEOとCMOのあいだにある信頼の隔たりについての学びに加味したいとも考えた。CMOの支出、楽観性、能力開発の評価に関するデータは有り余るほど存在するが、より測定の難しい、CEOとCMOの関係性を促進する要素に関するデータはあまりにも少ない」
以下では、米国のCEO約150人に対して、CMOについて尋ねた調査で明らかになったポイントについて、10点紹介しよう。
総じて言うと、結果はまちまちだ。CMOは、総合的にはCEOから評価されているようだが、パフォーマンス改善の余地はある模様だ。
興味深いことだが、CMOへの評価が低めとなった分野のなかには、CEOがうまく導いたり影響を与えたりできる範囲が大きい分野があった。具体的には、「取締役会の力関係を理解しているか」、「損益計算書の見方がわかるか」といったものだ。
CEOであれば、CMOが取締役会の力関係を把握できるよう手を貸せるだろうし、「損益計算書の見方を理解しなければならない」とはっきり求めることもできる。また、重要な財務会議にCMOを同席させ、決算の発表や説明を行う責任を与えることもできる。
今回の調査は、CEOがCMOのパフォーマンスをどう評価しているかを知るためのものだったが、その一方で、CEO側の責任についても示唆している。つまりCEOは、CMOに何を期待し、何が未達成なのかについて、より明確に示すことができるのであり、そうすれば、CMOはその期待に応えられるようになることを示唆している。
今回の調査結果には、CMOにとっても、学ぶことができる大事なポイントがある。「CMOは、消費者研究を生業とするマーケターだが、驚くべきは彼らが、CEOという集団ならびにCEO個人が構築している関係性についての調査をほとんど行っていないことだ」と、ボートハウスのコナーズCEOは指摘している。「CMOは評価されたいと思っているが、そうした評価は、誠実な関係性を土台にして築かれていかなくてはならない」