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2022.06.26 07:00

サル痘について人類が他のポックスウイルスから学べること

我々は人畜共通ポックスウイルスが感染力の高いヒト病原体へと変異する可能性を警戒しなくてはならない。すでに危うい現在の医療システムに、準備のできていない世界的パンデミックにこれ以上巻き込まれる余裕はない(Getty Images)


サル痘の脅威はどれほどなのか? 現時点では警戒を高める原因ではないが、それが変わる可能性がある。すでに、約30カ国で1000例以上のヒトサル痘感染が報告されており、そこには米国、英国、カナダといった通常サル痘が流行していない国も含まれている。
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いくつかの国では、「包囲接種」と呼ばれる戦略を用いて、サル痘感染者と接触した個人への天然痘ワクチンの接種を開始している。天然痘ワクチンはさまざまなポックスウイルスに対して効果があることが知られているが、サル痘に対してどの程度効果があるか正確にはわかっていない。しかし、現段階で発症数を抑える最も強力な手段の1つであることに変わりはない。

最近のヒト感染の急増は、サル痘ウイルスの2種類の主要流行株に起因している。1つは西アフリカ、もう1つはコンゴ盆地固有のウイルスだ。これらのウイルス株、特に西アフリカ株は、過去の変種と比べて引き起こす症状の重篤度が低い。これまでに米国では、サル痘に関連した死亡例は報告されていないが、今後もし免疫不全の人や幼い子どもたちといったより脆弱な人々にウイルスの手が伸びるようになれば事態は変わる可能性が高い。
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翻訳=高橋信夫

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