アップルの根底に流れる理念
iPhoneの誕生は、インタフェースをシンプルにするというアップルの姿勢をより強固なものにした。パーム社のPalm PilotなどのPDAの初期モデルは、専用のOSとUIを採用していたが、アップルは、3.5インチのディスプレイと直感的なGUIを備えたiPhoneをリリースし、ポケットコンピューティングを現実のものにした。
初期のタブレットも、個別のOSやUIを採用していたために使い方が難しく、慣れるまでに時間を要した。タッチペン対応モデルは、特にその傾向が強かった。
アップルはOSとシンプルなUIを備えたiPadをリリースし、タブレット市場を確立した。アップルの使いやすさを追求する姿勢は、アップルウォッチにも反映されている。
スマートウォッチも、初期のモデルは個別のOSやUIを搭載し、使い慣れるまでに時間を要した。これに対し、アップルウォッチのUIは直感的で使いやすく、スマートウォッチをメインストリームに押し上げた。
アップルは、これからもジョブズの思想を受け継ぎ、今後発表するヘッドセットや自動車においても、操作のシンプルさがプロダクトの核となるだろう。
アップルの成功要因には、技術力やマーケティングなども含まれるが、その中核を成すのが、誰にとっても使いやすい製品しか作らないというジョブズの信念であることは明白だ。同社は、1980年代初めから今日に至るまでこの姿勢を守り続け、これまで市場に投入した全ての製品でそれを具現化してきた。今後リリースする製品においても、その姿勢は変わらないだろう。