新型コロナとの戦いに転機、モデルナ新ワクチンのブースター接種でオミクロン変異株への強い抗体

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従来の新型コロナウイルスおよびオミクロン変異株の予防を目的に開発された新しいワクチンについて、米バイオ製薬モデルナは22日、オミクロン変異株2種に対して強い抗体反応を生み出すことが確認されたと発表した。

感染力の強いオミクロン変異株による感染者の増加が懸念されるなか、同社は来月、2022年7月に新しいワクチンの提供を開始する予定だ。

発表によると、予備的臨床データ結果で、オミクロン変異型BA.4とBA.5に対して「強力な」抗体反応を生むことが確かめられた。

50マイクログラムを投与した1カ月後に、コロナ感染歴の有無にかかわらず、ウイルスの複製を阻止することができるオミクロン変異株中和抗体のレベルが5倍以上になったという。

今回の発表の2週間前にモデルナは、このブースターを接種すると1カ月で従来のオミクロン株と新型コロナウイルスに対して強力な予防効果が得られるというデータを明らかにしていた。

新ブースターはBA.4変異株とBA.5変異株に対してはBA.1変異株ほどに強力な予防効果を発揮しなかったが、「オミクロン変異株全般に対する持続的予防」を提供できることがデータで示唆されたという。

モデルナのポール・バートン最高医学責任者は「新型コロナとの戦い」における「ターニングポイント」になり得るとの見解を示した。

新ブースターは今秋発売される。モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)は、同社が「緊急に」データを規制当局に提出し、8月に供給を開始する準備を進めていると述べた。

今回のニュースは、オミクロン変異株のBA.4とBA.5が新型コロナウイルスの支配的な株となりつつある中でのものだ。米疾病対策予防センターのデータによると、BA.4とBA.5は先週、感染例の3分の1以上を占め、その前の週の23%から上昇している。

これらの変異株は2022年初めに南アフリカで初めて発見され、その後、同国で主流となった。現在使われているワクチンはパンデミックの初期に作られたものと同じだ。

オミクロン株は従来のウイルスよりも、ワクチンと感染の両方から免疫を回避することに成功していることがデータで明らかになっている。オミクロン株を標的としたブースターについては、ファイザー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ノババックスなど数社が取り組んでいる。

モデルナは従来のコロナウイルスとベータ変異株を標的とした別のワクチンも開発中で、今後数週間のうちに規制当局にデータを提出する予定だという。

翻訳=溝口慈子

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