次に観客席からの景色だ。ドジャースの名監督トミー・ラソーダが名付けたニックネームは「地球上の青い天国」。気候の良い青空に加えて「天国」とついたのは、球場が位置する地形による。
高層ビルが立ち並ぶロスのダウンタウンに程近い立地ながら、かなり高い丘の頂上に位置しているため、背後には緑の山並みが見え、ホーム側にはスカイラインが雄大に広がる。大都会にあることを忘れさせるこの素晴らしい眺望が「天国」と言わせたにちがいない。
Albert Valles/Getty Images
さらに「ベースボールの聖地」としての地位も不動で、これまでMLBのトップを決めるワールドシリーズを11回も開催している。さらに、野球の世界一決定戦であるWBCの決勝戦にも第2回(2009年)と第4回(2017年)と2度も使われたし、1984年の夏季オリンピックの野球種目はやはりこの球場が舞台となった。ちなみに2028年のロサンゼルス・オリンピックでもこの球場を使用する予定だ。
加えて言えば、近年の球場は基本的に多目的球場として使われるが、コンサート以外、ドジャースタジアムはいまだに野球専門である。また、MLBの本拠地として最近では珍しくなった左右対称の美しい球場で、特にナイトゲームが始まってからの夕暮れの風景には思わず試合そっちのけで見とれてしまうほどだ。
写真提供=Shinji Inagaqui
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街の中心から至近の距離にありながら、広大な駐車場を有しているというのもこの球場の大きな特徴だ。古い球場ほど、駐車場は完備されていないことが多い。前述のフェンウェイパークもリグレーフィールドも、基本的にマイカーで行く場合は自分で民間の駐車場を探さなければならない。開場当時はクルマで野球を観に来ることが想定されていなかったのだろう。
写真提供=Shinji Inagaqui
ところが、さすがにクルマでの移動が常であるロサンゼルスという土地柄か、ドジャー・スタジアムの建つ丘の残りのスペースはすべて駐車場として使用されており、さながら広い駐車場のなかに球場があるという趣だ。試合の前後には交通渋滞が起こるのが、玉に瑕かもしれない。