キャリア・教育

2022.06.29 08:00

DAOが新たなキャリアオプションに?〜DAOで働くとはどういうことか?


DAOは過去1年で8倍以上に増加


DAOは分散型自律組織の略称で、伝統的な組織にあるような経営陣を必要とせず、トークンを保有するDAOメンバーによって組織の方針が決められる、分散型の組織体系を指す。DAOは組織としてウォレットを持つので、「共通のお財布を持つ分散型コミュニティ」などとも言われる。

DAOで使われるトークンはブロックチェーン上で発行され、DAOに貢献したメンバーやパートナーに報酬として支払われ、またそのトークンはガバナンスの投票のためにも使われる。

DAOは基本的にパーミッションレス(非許可)のインフラを基盤にしているため、DAOを作ろうと思えば誰にでもできてしまうので、世界に存在するDAOの数を正確に把握することは難しい。それでも、DAOのガバナンス管理ツールを提供するSnapshotによると、過去に1回でもガバナンスの提案があったDAOは6000組織に達し、1年間で8倍以上の伸びを見せた。

また、DAOデータのプロバイダーであるDeepDAO.ioによると、2022年6月時点で100人以上のトークンホルダーを有するDAOが350組織以上、100万ドル以上の資産を有するDAOが90以上となっている。これらのDAOが保有する総資産は88億ドルにも及ぶ。

DAOには、さまざまなタイプが存在し、ブロックチェーンのプロトコルを開発する「プロトコル系DAO」や、共同で投資を行う「投資系DAO」、特定サービスを開発・提供する「サービス系DAO」、そしてメンバー同士の交流を目的とする「ソーシャル系DAO」などがあり、種類によってDAOの組織デザインも異なる。究極のDAOは、それが目的とする活動の「実行」自体がスマートコントラクトで自動化される組織だが、そのようなDAOはごく一部で、トークンを基盤としたガバナンスを有する分散型組織が広義のDAOとされることが多い。

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図1:DAOのランドスケープ(出典:@Cooopahtroopa)

DAOで働くとはどういうことか?


では、「DAOに参加する」そして「DAOで働く」とは、具体的にどういうことなのだろうか?

まずDAOに参加するには、何百、何千とあるDAOの中から、自分の興味・関心、理念に合うDAOを模索することが第一歩だ。

多くのDAOが、通常Discordサーバでメンバー同士のコミュニケーションを行っているが、一般の人でもアクセスできる部分と、「正規メンバー」のみがアクセスできる部分が区切られていることが多い。DAOコミュニティの雰囲気や活発度具合を探るためにもまずはDiscordサーバーに入ってみて、そのコミュニティの「バイブ(雰囲気)」を感じることが重要だ。

そのDAOで実際に活動してみたいと思った場合は、正規メンバーになるための条件を満たす必要がある。それは、特定数のトークンを購入することだったり、特定のタスクをこなしてトークンを取得することだったりと、個々のDAOによって条件設定は異なる。

正規メンバーになると、さまざまな角度からDAOに貢献することができる。例えば、DAOの運営に必要な仕事をやってみて、バウンティとしてトークンをもらうことができる。その仕事は、開発のほか、投資、事務、マーケティングなど多岐にわたり、決してテクニカルな仕事だけではない。その仕事のクオリティが認められたら、コミュニティ内での評価が高まり、ゆくゆくはDAOでのフルタイムの仕事も得られるかもしれない。
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文=吉川絵美

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