テクノロジー

2022.06.23 10:00

医薬品業界の新型コロナワクチンへの取り組みが不当に過小評価されている


連邦政府が数十年のNIH委託研究を通じて、基礎研究コストの大部分を支払ったというのも、ひどい誇張だ。なによりも、これらワクチン開発を真に推進したのはベンチャーキャピタリストたちだ。この技術の潜在的利用に関する研究は、数十年来行われており、進捗は遅かった。モデルナとビオンティックが設立され、数千万ドル(数十億円)のVC資金を得て上場するまで、mRNAワクチンを現実のものにするために必要なブレークスルーは生まれなかった。

NIHが指揮あるいは資金援助した研究が、幅広い医薬品の発見と開発の連続にとって重要であることに疑いはない。政府と業界の相互関係を大きく変えたバイ・ドール法の共同提案者であるボブ・ドール上院議員が、同法律が新型コロナ治療の競争に与えた影響に関する重要な論説記事を書いている。彼は公共と民間の研究の相互関係を刺激することが、革新的科学の恩恵をいち早く患者にもたらすために必要であることを説明した。

「多くの研究機関と大学が、この種の基礎研究や、最終的に革新的治療や製品につながる発明を担っている。しかし、こうした革新を市場にもたらすためには、莫大な投資と、民間セクターによるさらなる研究と開発が必要だ。政府が1ドル費やすたびに、業界はその10倍から100倍を費やしている」

パール博士のような批判は、バイオ医薬品産業における救命にかかわる業務の重要性を矮小化している。バイオ医薬研究開発は、リスクが大きく多大な費用を要する取り組みであり、そこでは何千人もの創造的で勤勉な科学者がその才能を活かして世界の病気を治し、パンデミックをなくそうと日夜努力している。これは改めて認識すべきことであり、過小評価されるべきではない。

翻訳=高橋信夫

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