NHTSAは、2021年7月1日から2022年5月15日のあいだに、自動運転技術が部分的に使われた自動車が絡んだ事故が392件発生していたことを確認した。そのうち、テスラの車両が絡んだ事故は273件で、全体の69.6%を占めている。
次がホンダ車の90件で、23%に相当する。それ以外の全自動車メーカーの事故は、10件かそれ以下だった。これらの事故では、総計で6人が死亡している。
NHTSAのスティーブン・クリフ局長は声明で、今回のデータは包括的なものではないが、自動車の安全性向上に向けた第一歩であると述べた。
この新たなデータが公表されたあとも、テスラの株価には影響がなく、6月15日午前の取引では1.6%上昇した。
NHTSAは2021年8月、テスラのオートパイロットの安全性に関する広範な調査を開始した(停車中だった緊急車両への衝突事故が続いたことなどが原因だ)。そして、今回のデータ公表直前である6月9日には、安全性調査から、エンジニアリング分析へと格上げした。
これは、リコール前に実施が必要な措置だ。一部の専門家からは、テスラの車両は、完全自律走行するための適切な技術が十分には搭載されていないという声が上がっている。
テスラの車両は、他の大半の自律走行車で使われているLiDARセンサー技術(レーザー光で物体を検知する自動運転センサー)を搭載していない。また、2021年5月以降は、それまで搭載していたレーダーを外している(従来のテスラ車のセンサーは、レーダーと8台のカメラに依存していた)。
ただし、同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はテスラの技術を擁護している。マスクCEOは2021年4月のツイッター投稿で、テスラのオートパイロットを使用した車両が、他の自律走行車より「安全性が高いのは疑う余地がない」と主張していた。
テスラが公表しているデータによると、同社のオートパイロットを使用した車両は、他社の自動運転車よりも安全性に優れている。テスラは、2021年第4四半期に同社のオートパイロット車両で走行したドライバーが事故に遭った確率は、「431万マイルに1回」としているが、この数字は、NHTSAが発表している全米平均「48万4000マイルに1回」を大きく上回っている。