ウクライナでの戦争が何年も続く可能性、NATOトップが支援継続を訴え

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ウクライナにおける戦争は何年も続く可能性がある。ロシアがウクライナに侵攻してほぼ4カ月、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は、戦争によって世界の食料とエネルギーの価格が高騰する中でもウクライナへの支援を続けるよう各国に促した。

ストルテンベルグ氏はこのほど独紙ビルトに、戦争がいつ終わるかは「誰にもわからない」が、ウクライナに最新兵器を供給すればウクライナ東部のドンバス地域からロシア軍を撃退できる可能性が高まると語った。

英国防省は19日に最新情報を発表し、ドンバスで「激しい衝突」が起きていて、ロシア軍とウクライナ軍の両方で「士気が不安定になっている」可能性が高く、東部セベロドネツクの近くでは双方が砲撃を行っていると明らかにした。

同省によると、ウクライナ兵は撤退を余儀なくされているようだが、一方でロシア軍では命令拒否や将校と部隊の間での武力衝突があちこちで発生し、ロシア軍の士気は「かなり問題を抱えている状態」だという。

AP通信の翻訳によると、ストルテンベルグ氏は同盟国に対し「軍事援助だけでなく、エネルギーや食料品の価格上昇でたとえ代償が大きくなってもウクライナへの支援を弱めない」よう促した。「食料や燃料の代償は、前線にいるウクライナ人が毎日犠牲にしているものと比べれば大したものではない」と訴えている。

ロシアがウクライナに侵攻してほぼ4カ月となる。ロシアはウクライナ軍の強い抵抗を受けてキーウなどの大都市を占領する試みに失敗。その後、ドネツク州とルハンスク州からなるドンバス地域全体の支配強化に目標をシフトしている。ロシアの支援を受けているドンバス地方の分離主義者たちは、侵攻前に何年もウクライナ軍と戦い、2014年以降、同地方の大部分を掌握していた。セベロドネツクなどの主要都市では激しい戦闘が何日も続いており、こうした都市を攻略すればロシアはルハンスク州全体を支配することになる。

米国防総省の報道官は先日、ロシアが2022年2月に侵攻して以来、バイデン政権がウクライナに送った安全保障支援は56億ドル(約7560億円)にのぼるとForbesに明らかにした。米議会も先月、ウクライナへの追加の軍事・経済援助を含む400億ドル(約5兆4000億円)の歳出案を承認した。

ロシアはNATOのウクライナ支援を批判している。ウクライナは30カ国で構成されるNATOに加盟していないが、加盟の意志を表明している。ロシアのラブロフ外相は先週、ロシアがウクライナに侵攻したのは、ウクライナがNATOに加盟するという見通しのためでもあった、と英放送局BBCに語った。「我々が特別軍事作戦を宣言したのは、ウクライナをNATOに引きずり込むことは犯罪行為であると西側諸国に説明する方法が他に全くなかったからだ」とラブロフ氏は主張した。

翻訳=溝口慈子

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