「ミツバチのコロニーは世界的に前例のない速度で減少している。この状況が続くと世界のミツバチは個体数を維持できなくなる」と、同社の共同創業者でCEOのサール・サフラ(Saar Safra)は言う。
Beewiseが開発したミツバチの巣箱のBeehome(ビーホーム)は、コンピュータビジョンとAIを駆使してミツバチの常時監視を可能にする。同社は、150年の歴史を持つ伝統的なミツバチの巣箱をアップグレードすることで、養蜂家たちを支援している。
ビーホームは、24時間365日のモニタリングとスマートテクノロジーにより、ミツバチの受粉能力と蜂蜜生産量を大幅に向上させる。また、害虫などの脅威を検知して直ちに対処することで、人手をかけずに養蜂が行える。
ミツバチは世界の約3分の1の作物にとっての花粉の媒介者であり、食料生産に欠かすことのできない存在だ。野菜や果物、種子、ナッツなどの作物の71%がミツバチによって受粉されている。政府間組織のIPBESは2016年、世界の年間食糧生産の2350億ドルから5770億ドル相当が、ミツバチなどの花粉を媒介する動物による貢献に依存していると推定していた。
Beewiseは現在、70億匹以上のミツバチを管理しており、過去12カ月間で1億6000万匹以上のミツバチを救ったと試算している。同社は昨年1月、インサイト・パートナーズが主導した調達ラウンドで8000万ドル(約102億円)を調達したことを発表した。Fortissimo Capitalや Corner Venturesらが参加したこのラウンドで、同社の累計調達額は1億2000万ドルを突破した。
「当社のビーホームはミツバチの死亡率を80%減少させ、蜂蜜の生産量を50%以上伸ばしている。また、従来の養蜂箱に比べて、約90%の手作業を省くことができる」とサフラは言う。
Beewiseのソリューションは、養蜂家だけでなくすべての人類にメリットをもたらすものだ。AIや最先端技術を駆使して、伝統的な産業を支援すると同時に、食料問題の解決という重要な役割を担うBeewiseは、イスラエルが生んだ傑出したテクノロジー企業の一例と言える。