アップルのクレイグ・フェデリギが語るiPadマルチタスク強化の理由

クレイグ・フェデリギ(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

アップルの開発者向けイベント「WWDC」は、同社のソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長であるクレイグ・フェデリギにとって、1年で最も多忙な時期だ。彼は、2時間に及んだ今年のキーノートの大半でステージの中央に立ち、アップルウォッチやiPhone、Mac、iPadの新機能を紹介した。フェデリギは忙しい中、筆者のインタビューに答え、iPadにとって今年が鍵になると考える理由を話してくれた。

筆者はまず、iPadとMacのソフトウェアプラットフォームが年々似てきている理由や、両者の違いについて尋ねた。

「私は、iPadとMacを使い分けながら愛用している。Macは、外付けの大容量ストレージやディスプレイと接続が可能でパワーがあり、ホビイスト向けの機能が充実している。Macは、根本的には開発用のプラットフォームだ。一方で、iPadは持ち運びが便利で、楽な姿勢で手に持ったり、読書するときは画面を縦向きに回転できるなど、使い方や世界との繋がり方が多用だ。また、作業をするときは、外付けのキーボードやトラックパッドに接続したり、スタイラスペンでメモを取ることができる。iPadは、高性能なカメラを搭載しているので、世界をキャプチャしたり、AR体験を楽しむことも可能だ。また、外部ディスプレイに接続できるようにもなった。iPadは、どこへでも持ち運べ、多様な用途に対応した製品としては究極のものだと考えている」とフェデリギは述べた。

つまり、iPadにキーボードとマウスを追加すると、タッチスクリーン型のMacBookになるということなのだろうか?「iPadとMacとでは、ユーザー体験は全く異なる。iPadのコアな体験はタッチファーストで、手に持って使用することであり、それに特化したシンプルな設計となっている」とフェデリギは説明する。

iPadには、マルチタスク機能「Stage Manager」が新たに搭載された。これは、iPadの画面上で複数のアプリを同時に開くための機能で、新たなMac向けOSにも実装される。しかし、Stage Managerは、同時に4つのアプリしか起動できない(外部モニターに接続すると、さらに4つのアプリを起動することができる)が、このような制限を設けたのは何故なのだろうか?
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編集=上田裕資

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