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2022.06.25 07:30

腸活に特化したデジタル治療企業、資金調達により規模拡大へ

Getty Images

腸活に特化したデジタル治療企業のキャラ・ケア(Cara Care)は、シリーズAのエクステンションラウンドで700万ドルを調達した。ドイツのベルリンに拠点を置くスタートアップである同社は、過敏性腸症候群のアプリをスケールアップして、米国や他のヨーロッパ市場に進出することを視野に入れている。

キャラ・ケアは、これまでに1600万ドルを調達している。今回のラウンドを主導したのは、既存の投資家であるサバデル・アサビズ(Sabadell Asabys)やジョンソン&ジョンソンのほか、セリアック病や慢性腎臓病を患う人々のための製品を製造する家族経営の国際的な食品・栄養企業であるドクター・シェア(Dr.Schär AG)などだ。

さらにキャラ・ケアは、ジム・メイプス(Jim Mapes)を最高経営責任者(CEO)に任命した。メイプスは、セントーリ・ヘルス・ソリューションズ(Centauri Health Solutions)、ユナイテッドヘルス・グループのオプタム(Optum)部門、医療保険会社アンセム(Anthem)など、米国に拠点を置くさまざまなヘルスケア企業で幹部職を歴任してきた。

2016年にキャラ・ケアを共同設立したイザヤ・ブリンクマン(Jesaja Brinkmann)(30歳)とアンドレ・ゾマー(Andre Sommer)(34歳)は、マネージングディレクターを務める。ブリンクマンは、2021年の「Forbesが選ぶ世界を変える30歳未満の30人(Forbes 30 Under 30)」のヘルスケア&サイエンス部門のリストに挙げられている。

ドクター・シェアのフィリップ・ショーラー(Philipp Schoeller)CEOは声明で、「ドクター・シェア・ファミリーは100年にわたり、特別な食事を必要とする人々が、より良い生活を送ることができるようサービスを提供してきた」と述べている「キャラ・ケアは、この使命を最も革新的な技術で、さらに成功に導くことができるパートナーだ。我々はこのチームと、そしてジム・メイプスが経営陣に加わることを非常に楽しみにしている」

キャラ・ケアのアプリにサインアップすると、患者は自分の症状を入力し、体調管理に役立つパーソナライズされたプログラムを受けとることができる。これには、1対1のコーチングや食事、メンタルヘルス、運動への介入が含まれている。

ブリンクマンによると、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、胃酸逆流など、さまざまな症状を改善するためにこのアプリを使用するユーザーは100万近くいる。ユーザーの大半は、GoogleやAppleのApp Storeから有機的にやってくるとのことで、キャラ・ケアは星4.8個の評価を得ている。ブリンクマンは、「我々は6年前から市場に出ており、良い評判を得ている」と言う。

ヘルスケアの専門家たちも、患者にこのアプリを勧めている。ドイツでは、12週間のキャラ・ケア・アプリ・プログラムの費用が健康保険で払い戻される。

「我々の基本理念の一つは、エビデンスに基づく医療を基盤として活動することだ。つまり、患者に提供する治療やソリューションの効率性を常に評価しているのだ」とブリンクマンは言う。

今回の資金調達により、キャラ・ケアはアプリの商業規模を拡大し、他の欧州諸国にも進出し、さらに米国にチームを追加して、会社のフットプリントを拡大することができるようになるだろう。

ゾマーはこう話している。「デジタルヘルスを活用して、消化器系の問題を抱える患者に対して力を与える製品をつくる、というチャンスが存在する。可能となるさまざまな治療法を通して、患者をより健康にすることが、最終的には我々の使命になる」

翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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