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2022.06.20 15:00

セコイアが出資する「Web3時代のフィンテック」Afriexの実力

John Kehly / Shutterstock.com

ナイジェリア出身のトペ・アラビ(Tope Alabi)は、20年間の米国生活を経て、2019年に母国に戻った。彼は、ブロックチェーン技術のコンサルティング会社コンセンシス(Consensys)で働いた経験を活かして会社を立ち上げたいと考え、友人のJohn Obirijeとさまざまな事業に挑戦したが、どれも失敗に終わった。

2人は試行錯誤を繰り返す中で、常に同じ問題に直面していることに気が付いた。それは、米国の銀行口座にある資金をナイジェリアに送金する際の手数料が高く時間もかかることだった。

そこで、2人はブロックチェーン技術を使い、資金を暗号通貨のステーブルコインに変換して送金するシステムの開発を思い立った。この手法であれば取引手数料が無料になる上、ワイズ(Wise)などの既存のサービスに比べて所要時間も短くなる。

例えば、ワイズの場合は6.45%の手数料を徴収し、処理に数日を要することがある。アラビらは、2019年に「Afriex」を立ち上げ、瞬く間に多くのユーザーを獲得した。「パンデミックの影響かどうかは不明だが、サービスのリリース直後から急成長が始まった」とアラビは話す。当初は、サービスの提供地域をナイジェリアに限定していたが、現在ではウガンダやケニア、ガーナに拡大している。

アフリカでは、これまで見過ごされてきた消費者層をターゲットにしたフィンテック企業が急増しており、Afriexはその中の1社だ。CB Insightsのデータによると、2021年にはアフリカのフィンテック企業に対する投資額が14億ドル(約1800億円)を超え、2020年の約7倍に増加したという。2021年にアフリカ大陸の全スタートアップがベンチャーキャピタルから調達した総額は22億ドルで、その半分以上がフィンテック関連に注がれたことになる。

Afriexは、毎月500万ドル(約6.5億円)以上の送金を処理している。競合のワイズは、毎月平均40億ポンド(約6700億円)を処理しているが、Afriexは過去6カ月で顧客数が500%増加しており、アクティブユーザーの半数は週1回以上の頻度でサービスを利用している。同社は、顧客が送金をする際の暗号通貨のレートの差額を利用した裁定取引によって利益を得ているが、収益は公開していない。

同社は、昨年5月に実施したシードラウンドで130万ドルを調達しており、先日クローズしたばかりのシリーズAラウンドでは、評価額6000万ドルで1000万ドルを調達した。このラウンドは、セコイア・キャピタル・チャイナとDragonfly Capitalが主導し、Goldentree、Stellar Foundation、Exceptional Capitalが参加した。
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編集=上田裕資

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