ガウディの代表作といえば、現在も建築途上にある教会、サグラダ・ファミリアです。2005年に「アントニ・ガウディの作品群」を構成する物件の1つとして世界文化遺産に登録されました。緩やかなカーブを描く柱と緻密な彫刻、構造的に柱が少なく空間が大きいことなどが特徴の大聖堂で、着工したのは1882年でしたが、140年経った現在も完成していません。
その理由の1つは資金不足です。サグラダ・ファミリアの正式名称は「聖家族贖罪教会」で、建築費は信者からの寄進や入場料でまかなっているため、たびたび資金難に陥り、建設は中断されてきました。
そして、もう1つの理由は明確な設計図が存在しないことです。ガウディが残したのはスケッチ1枚と実験模型だけ。彼の死後に弟子たちでつくられた図面などの資料も、スペイン内戦(1936年〜1939年)で焼失してしまいました。しかも、サグラダ・ファミリアには直線や直角が使われておらず、複雑な形状であるため、コンピューターのない時代ではとても難しい工事だったのです。
しかし、世界文化遺産に登録されたことで観光客が激増して入場料収入が増え、3DプリンターやコンピューターなどのIT技術も取り入れたことにより、大幅な工期短縮が見込まれるようになりました。
ガウディの没後100年にあたる2026年には完成予定とされていましたが、コロナ禍の影響で、観光客が激減。再び資金難に陥ってしまいました。荘厳な大聖堂の完成はまだ先になりそうです。
連載:今日は何の日?