ケネス・アーノルドは自家用機で飛行中に謎の飛行物体を目撃します。それはワシントン州のレーニア山頂付近に9個あり、高速で移動していたといいます。アーノルドは、この三日月型であった飛行物体を、「水面すれすれに投げたソーサ―(カップの下に置く受け皿)が水の上を跳ねていくような飛び方をしていた」と説明しました。
しかし、それをマスコミが誤って皿のような形だったとして報じたため、「空飛ぶ円盤(フライング・ソーサー=Flying Saucer)」という呼称が世界中に広まりました。
この事件の後も謎の飛行物体の目撃情報が相次ぐなか、アメリカ空軍が「UFO(Unidentified Flying Object=未確認飛行物体)」と名づけ、以後、その呼び方が一般的になります。
アメリカ政府も科学者委員会を設立して調査を実施。UFOの大部分は気象現象、気球・航空機・ロケット等の人工物体や動物等の誤認であると結論づけ、1969年には、「地球外の乗り物」という説を否定。UFOをめぐる論争に終止符が打たれたかに思われました。
ところが2020年に国防総省は一転、謎の飛行物体の存在を認め、本格的な調査に乗り出します。この方針転換のきっかけとなったのは、軍の中枢からの告発でした。2017年に、謎の飛行物体を撮影した映像をマスコミにリークしたのです。
これを受けて、国防総省は映像を本物と認め、正式に公開。2021年6月に公開されたアメリカ合衆国国家情報長官室の報告書では、UFOに代えて、「UAP(Unidentified Aerial Phenomena=未確認空中現象)」の呼称が用いられています。
同報告書では、UAPが国家の安全保障上の問題になりうる点にも踏み込んで言及。国防総省は、飛行の安全性や安全保障の観点から引き続きUAPの分析や調査を行う方針で、そのための専門部署が稼働する予定だとしています。
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