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2022.06.20 08:00

新型コロナの根絶はおそらく不可能、感染症専門医が語る課題

Getty Images


天然痘のゲノムはDNAだが、SARS-CoV-2のゲノムはRNAである。この単純な違いが非常に大きな意味を持っている。なぜならDNAはより安定しているため、ワクチンや診断薬、治療薬などの対策が長期にわたって天然痘ウイルスに対して有効であり続けるからだ。SARS-CoV-2の場合、ウイルスが次々と新型を生み出し、ワクチンや治療薬の効果を低下させてきた。要するに私たちは常にウイルスの後追いを迫られているのだ。
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2. 症状の現れ方


多くの感染症では、患者が体調を崩し、熱や体の痛みがある最初の2、3日は、他の感染症との区別がつきにくいことが多い。天然痘の発疹が最初に現れたときでさえ、水痘、腸チフス、梅毒などの発疹を引き起こす他の病気と天然痘を医師が混同してしまう可能性があるのだ。しかし、顔、手、胸に膿をともなう典型的な病変が生じてしまえば、診断を下すのに高度な技量は不要となる。これこそが天然痘を撲滅するために重要な要素だったのだ。

このおかげで世界のどんな辺鄙(へんぴ)な場所でも患者を特定することができた。感染者を容易に特定できることで、撲滅チームはワクチン接種をどこに集中させるかを戦略的に判断することができるようになった。また、天然痘の潜伏期間は平均10〜14日と長いため(新型コロナウイルスでは変異型により平均3〜6日)、ウイルス曝露後にワクチン接種を行ってもまだ予防効果が期待できる。

新型コロナウイルスにおける重大な課題の1つは、対象となる患者が新型コロナウイルスに感染しているのか、それともインフルエンザ、パラインフルエンザ、ライノウイルス、その他の重症度の低いコロナウイルスなどの無数の呼吸器系ウイルスに感染しているのかを見分けることが困難なことだ。こうした困難に加え、感染者の40%はごく軽度あるいは無症状であることも問題を複雑にしている。そうした傍ら、知らず知らずのうちにウイルスを蔓延させていることもあるのだ。
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3. ワクチンの特性


私たちは、新型コロナウイルス向けの新しいワクチンを史上最短の期間で製造することには成功したが、その一方で、ワクチンによる免疫力は短命であり、防御力を維持するためにはブーストが必要であることを徐々に学んできた。これは天然痘のときの事態とはまったく違う。天然痘ワクチンは、長期間にわたる免疫を提供し、一生重症化を抑え続けられる可能性がある。一度のワクチン接種で済むのであれば、集団全体を守ることはとても容易だ。
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翻訳=酒匂寛

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